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幽雅に舞え!
激昂のエメラルド
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ジ、泥爆弾だ!」
「さらにシャドークロー!」

 泥爆弾が放たれる前に闇の爪がラグラージの体を引き裂く。連続でのひっかきを受けて、ラグラージが顔を歪めるが動かない。そして泥爆弾は放たれ、爆音を響かせてヤミラミの体を吹き飛ばし、砂浜を何度もその小さな体が泥だらけになって見えなくなるくらい転がる。ヤミラミも戦闘不能だ。

「どうだ!これが俺様の本気だ!てめえごとき雑魚トレーナーが敵う相手じゃねえんだよ、この圧倒的な攻撃力で俺は新しいチャンピオンになる!」
「……どうしてそこまで攻撃に拘るんだ?」
「うるせえ!てめえの知ったことじゃねえだろ!」
「……なら、勝ってから聞くさ!」
「あり得ねえよ、このまま3タテしてやらあ!」

 最後の一体を決める。サファイアの中で、誰を出すかは最初から決まっていた。


「出てこい、俺の……そしてエメラルドの仲間!ダンバル!」


 その選択にはルビーが少し驚き、エメラルドに至っては露骨に顔をしかめた。自分が役立たずだと捨てたポケモンだからだ。それをこの場で出すということは、彼にとっては侮辱にも等しい。

「ここでダンバルだとぉ!?てめえまで俺を舐めてやがんのか!」
「舐めてなんかいないさ、俺はこいつと一緒にお前に勝つ!」
「……やれるもんならやってみな!一撃で沈めてやれ、泥爆弾だ!」
「躱して突進!」

 ダンバルが、ラグラージの巨大な泥爆弾をまず横に水平移動してから、全速力でラグラージに突っ込む。突進を受けたラグラージは――やはり山のように、動かない。

「はっ、やっぱりそんな雑魚ポケモンじゃ俺様のラグラージには傷一つつけられねえってこった。決めろ、ラグラージ。マッドショットだ」

「……それはどうかな?」
「何?」

 ラグラージはマッドショットを放たない。いや――放てないのだ。不動の体がゆっくりと……しかし確実に傾いて、倒れる。

「嘘だろ……ダンバルごときに、メガシンカしたラグラージが……」
「……ダンバルだけの力じゃないさ。エメラルドのラグラージはフワンテの風起こしやヤミラミのシャドークローで確実にダメージを受けてたんだよ。メガシンカを過信しすぎだぜ」

 エメラルドが歯噛みし、仇でも見るような眼でサファイアを見る。ラグラージを戻し、ジュプトルを繰り出した。エメラルドは再び激昂する。

「それがどうした……それがどうしたってんだ!まだ俺様にはジュプトルがいる。突進しか出来ねえダンバルごとき、こいつで片づけてやるぜ!」
「焦るなよ、お楽しみはこれからさ」
「ああ!?」

 怒り声を上げるエメラルド。それに対してサファイアは指揮棒を振るう指揮者のように滑らかにダンバルを指さした。


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