第一部
人間の闇
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。まるでスローモーションでも見ているみたいだ。僕はそのまま最小限の動きで向かって来た拳を避けた。避けられた当の本人は力の行き場を失い、ヨロヨロとバランスを崩した。仲間達は僕を睨み、息も出来ない程殴ってやる。などと言って襲い掛かって来た。一人が僕の顔を狙ってきたので、僕はそのまま避け、逆に彼の顔を地面に打ち付けた。この時僕は殆ど力を入れて無かったのに男は頭から血を流していた。そして向かってくる二人には、腹と足を狙っていたので、先ずは足を狙う少年の横に行き、首元を軽くチョップした。すると面白い程綺麗に失神した。腹を狙っていた少年は怖気づき、顔を真っ青にして後ずさった。それを見て僕は嗤った。何故自分でもこんなに可笑しいのか分からないけれど人が恐怖している顔が余りにも面白かった。そして、僕は無意識に口を開いた。「どうしたの?ほら、立ちなよ。さっきまであんなに僕を馬鹿にしてたのにもうおしまい?なんて言ってたっけ。息も出来ない程殴ってやる!!...だったっけ?ねぇ...殺ってみなよ」僕はどうしてこんな事言ったのか分かんないが、疑問に思うより先に体が動いた。体が恐怖で震えている少年に向かって人差し指を向けた。僕はニヤリと口を歪めて一言いった。「バンッ!」言った瞬間少年に向けた人差し指から炎が上がった。僕が驚くよりも先に彼等が声を上げて飛び上がったので、また僕はニヤリと嗤った。「ね。僕は君達と違って人間じゃないんだ。分かったらとっとと失せな。今すぐ僕の前に消えてくれたら命は許してあげるから」それを聞いた彼等は慌てて逃げようとしたが、僕はある事に気付き引き止めた。「ちょっと待て!」僕が言うと少年達はヒッと声を漏らし、ぎこちなくこちらを振り向いた。「彼を置いて行かないでくれるかな?じゃまだから」僕が指さす方向を見ると失神した少年が横たわっている。彼等は仲間を担ぎ、一目散に逃げていった。それを見送った後に僕はくるりと振り返り、虐められていた少年に目を向けた。少年は僕を見て僅かに後ずさった。折角助けてあげたのにこんな態度をとられて僕は多少イラッと来たが顔には出さなかった。僕は優しく彼に話しかけた「大丈夫かい?どこか怪我はしてない?」少年は小さい声で大丈夫だと言い、僕をチラチラ見ている。僕はそんな彼ににっこりと笑った。「良かった。あとさ、僕のさっきの魔法?かな。あれ、誰にも言わないでね」少年は頭を縦に振った。まあ、言っても誰も信じないだろが...。彼は気まずそうに僕に質問してきた「どうして僕を助けてくれたんですか?」彼は僕の反応を伺っている。僕は考えたが、結局正直に話す事にした。「いや、これと言って理由は無いよ。ただ今日は凄くイライラしてたから何かに八つ当たりしたかったんだ。そしたらたまたま君達が目に入ってね。彼等でストレス発散したわけ」僕はこれ以上時間を無駄にするのも嫌なので会話を
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