第一部
人間の闇
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自分が魔族になったのが悪いんだって」僕は思わずそんなことない!と言いたかったが出来なかった。ラミアの表情はどんよりと沈んでいて、胸が締め付けられたのだ。ラミアは淡々と喋っている。
「魔族である私を信じてくれたのはあの協会の神父さんだけ。とても楽しくて、週に一度の癒しの時間だったの。だけど隼人と出会ってからもっと楽しくなった!隼人ともっと話したい、一緒に居たいって思ったの」僕は恥ずかしいと思ったが、ラミアは普通の顔をしていた。そこで自分も言わなければと思いつい口に出してしまった。「ぼ、僕も!君と出会ってからとっても人生が明るくなったよ!その前まで世界は灰色だったのに君の声を聞いて、君の顔を見たら全てが色付いたんだ!だからさ、笑ってよ。ラミアのそんな姿見たくないよ」ラミアは優しく微笑んで僕にお礼を言った。心臓が口から出そうだったが彼女の反応を見てホッとした。しばらく二人共黙っていると突然ラミアが明るい声を出して手をパチっと叩いた。「そうだわ!ねぇ、隼人。私の家に遊びに来ない?隼人ともっとお話したいの」
彼女が何を言ったのか理解するまでに僕は5分間ずっと黙ったままだった。
ラミアと別れて僕は溜息をつきながら帰り道を歩いていた。何故僕はラミアの家に呼ばれたんだろうか?その事を蓮に話すと彼はニヤニヤしながら僕の背中を叩き言った。「そこで決めろよ!怖くて出来なかったって言えばお前は男じゃなくなるぞ!」その時は何の事か分からないととぼけていたが、本当は意味が分かっている。でも僕達はまだそんな関係じゃないしラミアもそんな事望んでないはずだ......多分。
こんな事ばかり考えていると4人の少年が目に入った。3人が1人の少年を囲み、何やら怒鳴っているようだ。僕は正直どうでも良いと思い通り過ぎようとしたが、ふと今日の体育の授業を思い出した。虐められている彼女を見て僕は何ができた?また僕は逃げるのか?そう思うと怒りが体中から湧いてきた。くるりと向きを変え、少年達に向かっていく。何故か体がとても速く、軽くなった気分だ。一人の男が僕に気付いたらしく仲間に教えている。残りの男達も僕を下卑た目で見た。何故だろう。あんな奴ら3秒でヤれる。何時もの自分だと到底敵わないような相手なのに、今の僕には赤ちゃんのような弱さしか感じない。男は僕に話し掛けてきた。「おいおい。坊や!何ジロジロみてんだ!?お前もボコられたいのか?」ふと男達を見ると手をポキポキと鳴らし威嚇している。虐められていた少年は僕に同情や、安心の意味が込められた目で見つめている。僕は余りにも虐めていた少年達が馬鹿らしくなった。上から睨んでくる少年を見、僕は笑った。それに気付いた男はみるみる顔を歪め、僕に怒鳴り散らしている。そして、一際大きい少年が僕に殴りかかって来た。だけど僕は異変に気付いた。
遅い。遅すぎるのだ
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