第一部
人間の闇
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。蓮が先に行くからじゃん」蓮はニヤッと笑って僕の背中をバシバシ叩いた。「悪かったよ!それにしても、お前って本当に分かりやすいな!」「何がだよ?」蓮は僕の顔を除きこみ、僕の頬をつねった。「お前、ラミアのこと好きだろ?」聞いた瞬間僕の顔が真っ赤になってしまった。蓮はそれを見て爆笑した。「ぶはははは!!ほんっとに分かり易い!!で?ラミアのどこがいいんだよ?」僕は思わず蓮を睨んだ。「す、好きじゃないよ。大体、この前までラミアのことを嫌っていたのになんだよ?蓮はどうして彼女のことが嫌いなの?」それを聞いた蓮は少し困ったような顔をした。「それは、教えられねぇんだ。すまないな...いつか時が来れば分かるよ。お前も、彼女もな...」訳の分からないことを言って、蓮は更衣室を出て行った。
体育の時間になり、皆グランドに集まった。だけど、僕は直ぐに異変に気付いた。女子のラミアに対する態度がおかしいのだ。いつもならラミアの周りは女子でいっぱいなのに、今は皆がラミアを避けているみたいだ。ラミア自身、少し俯いて元気が無さそうだった。僕が不審に思っていると、女子が大きな声で言った。「ねぇ〜!びっくりよね〜!どうしてラミアちゃん教えてくれなかったの〜?皆知ってた〜?」この声にクラスの皆が集まって行く。僕もついて行く。女子が数名クスクスと笑い、その他はラミアを睨んでいる。「おい。一体どうしたんだよ?」男子が聞くと、女子の一人がニヤニヤしながら言った。僕は瞬間的にこれ以上は聴きたくないと思ったが、手遅れだった。
「あのね〜!ラミアちゃんって〜実は、魔族なんだって〜キャハハハ!」女は言った途端ラミアのお腹を殴った。「本当、な〜んで教えてくれなかったの〜?私達友達でしょ〜?まあ、今はもう違うけどね〜!」そう言って女子数名が彼女を殴りつける。それを見た僕は止めようとするが、何故か体が動かなかった。いくら動かそうとしても、脳が言うことをきかなかった。男達を見ると皆ショックを受けたようだが、誰も止めようとしなかった。数人はラミアの事を軽蔑した目で見下している。ラミアは只ひたすら殴られ続けた。ようやく体育の先生が来た所で皆辞めた。しかし、先生は彼女が殴られているのを見ても見て見ぬ振りだった。皆の行動に僕は激しい憤りを感じていた。いや、もしかしたら絶望していたのかも。今日のこの数十分で、人間の闇を見た気がする。その後の体育は彼女を気にしすぎて僕は集中出来なかった。僕が必死にラミアと目を合わせようとするが、彼女は僕を避けているようだった。
体育の授業も終わり、更衣室に戻ると男子が興奮したように話していた。「マジでびっくりだよな!ラミアが魔族だったなんてさ」「いや、俺は言われても納得できるよ。なんかそんな感じしてたもんな」「まあ、魔族なんて生きてる価値もないゴミだからな。何しても怒られ
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