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魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
外伝
第裏幕『The.day.of.Felix』
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した後――

「いいよ。でも、ただ働きは嫌だね」「持っていけ」

既に、分かっていたかのように、ドレガヴァクは金貨の入った袋を投げ出す。長い付き合いの彼らだからわかっていることだが、前払いで初めて契約が成立する。

「ああ……うまそうだ……うまそうだ」

金貨をじゃらじゃらと口に頬張り、滝のように流し込む。勇者の故郷において、カジノのキャッシャーでもこれほど大量にむさぼることなどまずない。

――毎度ありぃぃ――






独立交易都市の建都市者ハウスマンの出現により、あらゆる大陸の神話体系における解釈は大きく揺らいだ。
自己都合による解釈。現実を擁護すべき神職者。心の救済とするべく、闇の部分を隠蔽すべき愚職者の両者に分断された。
神とは――人々の心の拠り所――
いつの時代でも、人間が認知しえない、超越した存在が信仰されるようになってから、神という不確かな領域に寄り掛かろうとする。
神の正体は――情報の海にたゆたう意識生命体――
今は信仰されている神々もまた、元を正せば信仰心を持つ同じ人間だった。
夜と闇と死の女神、ティル・ナ・ファも例外ではない。
それが事実と言い放つハウスマンの存在は、遥か東の大陸において危険人物とされるようになった。
特に黒竜を建国伝説の象徴とするジスタートにとって、『実験台』と称するハウスマンの問題発言は、まさに戦乱の嵐を予感させるものだった。
さらにハウスマンは、王の伝説を3つ残していく。

あらゆるものを射倒す『魔弾の王』
その男は終焉の女神から『黒き弓』をさずかり、あらゆる魔を射倒して、ついには王になりおおせたという。

あらゆるものを砕世する『魔断の王』
その男は神々の王から『不敗の剣』をさずかり、あらゆる魔を砕世して、ついには王になりおおせたという。

そして――あらゆるものを覇界する『魔銃の王』
その男は創世の破壊神から『大いなる遺産』をさずかり、あらゆる魔を覇界して、ついには勇者達の王になりおおせたという。

「さて、――あちら――の世界の竜具と魔弾の王はどう出るやら。しばらく見学させてもらおう。ガッツィ・ギャレオリア・ガード」

――氷竜と凍漣――

――炎竜と煌炎――

――風龍と銀閃――

――雷龍と雷渦――

――光竜と光華――

――闇竜と虚影――

――槌竜と羅轟――

――銃と弓――

自らの顔が映る中身が入ったままのグラスを眺めながら本を閉じ、楽しげにつぶやいた。
その人物の名は、ガヌロンといった。





【数年前・ブリューヌ国内・テナルディエ侯爵領・ネメクタム】





どこまでも続く渡り廊下に、一人の壮年の男が歩いている。
テナルディエ侯爵が、弓に対する評価
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