EPISODE02勇者T
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―言葉ではなく拳で語る!これしかあるまい!部下共の前でワシと演じれば納得してくれよう!――
――どこが「いいコト」何ですか!--
――いや、そうでもないぞ。ヒューゴー――
――そうでもない……とはどういう意味ですか?――
――拳とはただ目の前の敵を倒す為にあるのではない。己が歩んできた人生みちを表現する道具なのだ。鍛錬し、研ぎ澄ませ、己が心を鍛える為に存在する。ガイがもし騎士として……いや、それ以上の心を持っているとしたら、必ず団員たちに届いてくれるはずだ――
――あの……まさかとは思いますが……単にあなたがガイ君と戦いたいだけなのでは?――
――気のせいだ。きっと――
――やっぱりそうなのですね!――
ヒューゴーは苦しそうに頭を抱えた。また一つ気苦労が増えたと思うと以下省略。
「ハンニバル団長、どうしました?」
意識が過去そっちのけになりつつあるハンニバルに対し、凱は軽く声を掛けた。
「すまんすまん。ようこそ独立交易都市三番街自衛騎士団へ。シシオウ=ガイ、我々は君を心より歓迎するぞ!」
力強いハンニバルの歓迎の言葉に、凱の心は素直に喜の声を上げた。
こうして数多の騎士が守護する宝物庫に、一人の勇者が降り立つ事になる。
「ガイ。この後予定は空いているか?」
「いえ、特にありませんけど……」
「疲れているところ申し訳ないが、実は君に合わせたい人物がいる」
「一体、誰なんです?」
「ガイと同じ新人騎士でな。彼女は一か月程前に三番街自衛騎士団に入団したばかりなのだが」
彼女と、確かにハンニバルはそう言った。
女性の騎士なのだろうか。僅かな数日差があるにせよ、その人は、たった今入団した凱にとっては先輩にあたる。
「その人の名前を、聞かせてくれますか?」
「彼女の名は……」
――セシリー=キャンベル――
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