EPISODE02勇者T
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程の実力を持っているのなら、相当名の知れている傭兵のはずだ。
無名でいる方がおかしい位に。
「さあ!ワシを一体の人外、一体の悪魔だと思い……」
迷いのない真っ直ぐな凱の戦いぶりは、その強さはハンニバルの闘志に火をつけた!
凱がハンニバルに与えたのは肉体的損傷だけではない。闘志に火をつける添加剤をも含まれていたのである。
――――かかってこい!!――――
独立交易都市、三番街自衛騎士団団長、ハンニバル=クエイサーはニッと笑みを浮かべた。
その双眸は、これから獲物を捕食する肉食獣に酷似しており、悪鬼のような表情で戦闘意欲を剥きだしにしている。
再び両者は互いの四肢を突き当てて、応酬を開始!
そして時間は流れていき――――決着は保留となったまま今回の模擬戦は終わりを告げた。
――畜生!早速今から訓練だ!――
三番街自衛騎士団達は、疲れた体を推して訓練に励んでいた。
本当なら本日の課程を修了しているのだが、凱とハンニバル、二人の激闘に気持ちが震えたのか、再び獲物を得て己の修練に没頭していた。
そんな騎士団達の様子が見渡せるほどの高所に位置する見張り廊下で、激闘の出演者である二人が互いを称えあっていた。
「大した腕前だよ君は。ハウスマン市長が推し進めるのもわかる」
「いえ、俺の方こそ多くの事を学ばせて頂きました。ありがとうございます」
「その若さでこれ程強いとは……君には並々ならぬ出来事があったのだろう?」
「……」
彼は黙したまま何も語らなかった。
「いや、やはりやめておこう。無理に聞くのも野暮と言うしな。とにかく、部下達にはいいクスリになったよ。改めて礼を言わせてくれ。ガイ」
どういたしましてと言わんばかりに、凱の表情はちょっとテレていた。
眼下に広がる熱気混じりの訓練を見て、ハンニバルは言葉を続けた。
「最近どうもたるんでいてな。平和が続くことはいいことだが、それが返って精進を怠ってしまう」
そう言葉を紡ぐハンニバルの表情には、何故か危機感が滲み出ていた。
昨夜、独立交易都市ハウスマンの市長室で行われていた密会を思い出す。
――彼を……ガイ君を三番街自衛騎士団に入れてみてはどうでしょう?ハンニバル君――
――ワシに異論はない。だが他の団員達は素性も知らぬ者が入団する事に納得してくれないだろう――
――そうですね……彼は独立交易都市にとって……いや、大陸三国一都市の人間にとって、全くの未知なる人物でありますから。ですが、彼は必ずや独立交易都市の大きな力となります。私にはその確信があります!――
――どうやって部下共を納得させるか……フム、いいコトを思いついたぞ!――
――「いいコト」とは一体何なのですか?――
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