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活動日誌6.5 これからのさむでぃ! (涼風プロローグ)
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かけることもできなかった。
 何も言わずに入部をしてから断られるより、先に声をかけて彼女達の気持ちを聞いた方が良いと思うのだけれど。
 面と向かって断られる勇気がなかったんだと思う。
 もちろん、一緒に活動するだけが音ノ木坂学院のスクールアイドルの条件ではないのは理解している。
 それでも、2人に拒絶をされてから入部をして、同じ部員として活動する自分が――
 高坂さん達も含めた研究部の全員から孤立(こりつ)しているかも知れないって想像をすると、自分の決意や願いが()らぐのだった。 

 一緒にスクールアイドルをやりたい。
 だけど彼女達に断られたら? 受け入れてもらえなかったら?
 授業が終わっても結論が出せない。次の行動へと踏み出せないでいる。
 ふと、雪穂さんの方へと視線を向けると、机に座ったまま黒板を眺めて考え事をしているように見える。
 もしかしたら、2人だけ(・・・・)の練習メニューを考えているのかも?
 だとしたら、私が仲間になるのを快く思わないのでは?
 更に拍車(はくしゃ)をかけるように不安が頭を過ぎるのだった。

 それでも、高坂さん達に近づきたい。スクールアイドルになりたい。そして――
 雪穂さん達と一緒にスクールアイドルの活動がしたい。
 この願いを失たくはなかった。
 あと1歩踏み出す勇気が。背中を押してくれる手が――
 目の前に差し出してくれる暖かい手が欲しかったのかも知れない。

 相反する気持ちの板ばさみな状態のまま、先に進めずに時間だけが流れ、気づいたら昼休みになっていた。
 私は未だに結論が出せずに、踏み出せないでいる自分が情けなく感じていた。
 そんな悲しい気持ちを心に覆いながらも、黙々と昼食を済ませる。
 今日中には結論は出せないかも知れない。
 ううん。もしかしたら、この先も変わらないのかも?
 そんな先の見えない暗い未来を眺めるように、黒板を眺めている私の視界に――
 眩しい光を背負っているような感覚さえも覚えるほどの。
 強い決意を(まと)っている表情の、雪穂さんと亜里沙さんが歩いてくるのが見える。
 私は彼女達の姿に一筋の希望を感じていた。
 彼女達なら私を光輝く場所へと連れ出してくれるのかも知れない。
 新しい景色を見せてくれるのかも知れない。
 ――ううん、そうじゃない。一緒に見ることができるのかも知れない。
 そんな風に感じながら、彼女達が近づいてくるのを眺めていたのだった。
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