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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第二十話 それぞれの『優しさ』
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「落ち着くから」
「すずかはなんで?」
「ふふ、秘密ですっ」
雪鳴は無表情ながら目がドヤっとして答え、すずかは不敵な笑みを浮かべつつ答えない。
うん、本当に分からない。
二人とも歩きづらいだろうに。
しかもここ最近、気温が高くなってきてるから、こんなに密着したら暑いだろうに。
「……やっぱり離れません?」
「「イヤ」」
「……さいですか」
正直、メチャメチャ暑いんです。
だけど背後から冷たい視線が三人分送られてくるから丁度いい……わけもなく、ただただ辛い時間が続いていた。
……いや、可愛い女の子二人に挟まれるって幸せだよ?
男としてこんな幸福なことはないんだってことくらいわかりますよ?
でもね……でもですね?
俺にだって羞恥心はあるんだよ?
これ、メッチャ恥ずかしいんだよ?
後ろからはなぜか高町達が殺気飛ばしまくってきてるしさ。
こんなことして二人って何で嬉しそうにしてるんだろ……。
「ホント、さっぱり分からん」
「黒鐘らしい」
「俺らしい?」
雪鳴の言葉に、俺は引っかかりを覚えた。
俺らしさってなんだ?
雪鳴は俺の何に、俺らしさを感じたのかわからなかった。
「そう言う、鈍い所じゃないですか?」
「いやそれ褒めてないよね!?」
反対側からすずかによる笑顔の毒舌にギョッとしてしまう俺。
更に驚くことに雪鳴が首を上下に振って同感を示していた。
俺らしさが鈍感って……。
「というか俺、結構鋭い方だと思ってるんだけど?」
「「いやいやいや」」
「おい!?」
二人が同時に首を左右に振るので思わずツッコミを入れた。
そんな二人に振り回されながら、背後から三人の殺気を浴びながら、今日も俺の学生生活は始まる。
……平和を求めていた日常は、どうやら諦めた方が良いらしい。
*****
アタシたちの日常は、気づけば色々と変化していた。
なのはと出会った時は、なのはと喧嘩をしたのを覚えてる。
それがきっかけ、なんていうのは不思議なことかもしれないけど、ホントにそれをきっかけにアタシはなのはと友達になって、すずかとも友達になった。
気づけば三人でいることが当たり前になってて、三人でいる時間が一番充実していたと思う。
そんなある日、なのはがある人の話しをした。
最初はただの知り合いかなって程度だった。
なのはのお家は翠屋って喫茶店だし、客の話しとか、業者の人のことかなって……ほんとにその程度に思ってた。
その人の名前は、それから何度も話題に出すように
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