紅玉の神秘
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ついた。何とか起き上がると――そこには、さっきまでとは打って変わった様子の、紅く目を輝かせたをした女の子がいた。
「ゲン……カ…キ!」
「えっ……?」
「……消えろっ!」
少女はヨマワルを繰り出し、サファイアとカゲボウズに鬼火を放ってくる。咄嗟のことに避けられないサファイアを、何とカゲボウズがかばった。
「カゲボウズ!俺のために……?」
瞳が赤く輝き、体からは紅いオーラのようなものを放つ少女の様子は明らかにただごとではない。サファイアは直観的に、自分が魔法陣を触ったせいだと悟った。
そして――こんなとき、逃げないのがサファイアの持つ天性の特徴だ。
「よくわかんないけど、俺のせいだっていうんなら……俺が何とかする!頼むぞ、カゲボウズ!」
「−−−!」
出会ったばかりのカゲボウズが、任せてくださいと言ってくれている気がした。サファイアにとって初めてのポケモンバトルが幕を開ける。
「影打ち!」
「カゲボウズ、影打ちだ!」
二匹の影が伸びて衝突する。完全に相殺しあい、どちらにもダメージは入らなかった。
「驚かす!」
「こっちも驚かすだ!」
やはりお互いの背後を取って驚かそうとするが、同じゴーストタイプの進化前、同じ場所のポケモンということがあって優劣がつかない。そして、こうしている間にも火傷のダメージでカゲボウズの体力は削られていく。
(技や威力はほぼ同じ、なんとかシリアみたいな必殺の一撃を考えないと……)
お互いに同じ技を繰り出しながらも、サファイアは自分の戦術を考える。そして――
「影打ち!」
「カゲボウズ、影分身だ!」
サファイアは、あえて攻撃ではなく変化技を命じる。影打ちは命中してカゲボウズの体力がさらに削られたが、それでもあきらめない。サファイアは自分の、カゲボウズは自分の主の作戦を信じる。
「ここからナイトヘッドだ!!」
「−−−−!!」
「ナイトヘッド!」
影分身によって増えたカゲボウズの姿が一気に膨らんでいく。それはヨマワルのナイトヘッドを飲み込み、恐怖に包み込み――一撃で戦闘不能にした。
「よっし!よくやったカゲボウズ!」
出会ったばかりなのに自分のために頑張ってくれた相棒を褒める。ヨマワルが完全に倒れたかと思うと――巫女服の少女もまた、意識を失って倒れた。サファイアは思わず駆け寄る。
「大丈夫か!?しっかりしてくれ……」
自分のせいで大変なことになってしまったのでは、という焦燥が今頃になってわいてくる。しばらく傍にいると、少女は目を覚ました。瞳の輝きは消え、普通の状態に戻っている。
「……助けて、くれたの?」
呟く少女
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