呉越同舟
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イアとしては、二人に仲良くしてほしかった。自分に兄弟はいないけど、普通の兄妹ってそういう物だと思うし、ルビーもシリアもいい人だと思うからだ。
「……凄いトレーナー、か。確かにそうだね。ボクの兄上は、凄いトレーナーになった。実力も、態度も、まさにホウエン地方を代表するトレーナーさ。
だけどね、昔の兄上は……」
何か決定的な事実を語ろうとするルビー。思わずその口元に目線がいく。それに気づいて、ルビーはわざとらしく首を振った。
「そんなに見つめないでくれるかな?なんだか照れてしまうよ」
「……はあ。良く言うよ、全然そんな事思ってないくせに」
「本当さ。時々忘れてるようだけど、ボクは君と同じ15歳の少女に過ぎないんだよ?」
「とにかく、シリアの事あんまり考えすぎるなよ。なんかシリアに問い詰めてたときのルビー……凄く辛そうだったからさ。俺、ルビーのそういう顔してるのはあんまり見たくないっていうか……その」
なんといったらいいかわからなくなり、口ごもるサファイア。その時、上の方から自分たちを呼ぶ声がした。
「おーい!飯出来たぜー!!」
少し鼻をひくつかせると、カレーのいい匂いがした。サファイアはごまかすように慌てて上へと出ていく。
「なんでもない。飯食いに行こうぜ!」
残されたルビーは、ゆっくりと階段を上がりながらこう呟いた。
「……やれやれ、ごまかしたのはボクの方だったんだけどねえ」
船の上で食べるカレーはなかなか美味しそうに見えた。サファイアの後に遅れてルビーが到着すれば、3人で手を合わせた後カレーを食べ始める。なんとなくさっきの会話からあまり食が進まないサファイアたちをよそに、がつがつとカレーを食べるエメラルド。エメラルドがおかわりをよそおうとしたその時、船に何かがぶつかる大きな音がした。衝撃で大きく船が揺れる。
「なんだ!?あいつらの襲撃か!?」
「あいつらって!?」
「決まってんだろ、あの博士どもさ!」
目を輝かせて甲板へ飛び出すエメラルド。それに着いていくサファイア。ルビーはそのまま船内から動かない。ただ、気分がよくなさそうに口元を抑えた。
「坊ちゃん大変です、ヘイガニの群れが突然船を襲いだして……私一人では対処できません!」
運転手が困り顔でそう伝えてくる。エメラルドはむしろそれを歓迎するがごとく聞いて。
「わかった。じゃあここは俺様に任せとけ!サファイア、お前もついて来たきゃついてきてもいいぜ!」
「言われるまでもないさ!」
エメラルドは歓喜する。これだ。自分が旅に出て求めていたのはこういうのだったのだ。快適な船や自転車でただ街を移動してジム戦で勝つだけの安全な旅なんてつまらない
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