高坂姉妹の休日 【カゲショウ】
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「何かでかい事がしたい」
私の姉、高坂穂乃果は突然そう私に告げた。何の前触れもなく、唐突に。しいて言うなら通ってる大学の友達からもらったギネス記録名鑑を眺めてたぐらい……って、それが原因か。
大学三年生にもなってまったく精神年齢に進歩がみられない姉に対して私は思わずため息を吐いてしまう。自分を曲げないのはいい事なんだろうけど、年相応の思考回路を放棄した姉に私は冷ややかな視線と現実をくれてやる事にした。
「馬鹿な事言ってないで、目の前の単位の事に集中したら? お姉ちゃん習得単位ギリギリなんでしょ?」
「う、うぐっ!? 何で雪穂がその事を知ってるの……っ!!??」
「隠すつもりがあるならまず机の上に成績表を放置しない事と、ことりさんに泣きつくのをやめた方がいいよ」
「ことりちゃんが裏切ったの!?」
「正確にはお姉ちゃんの単位を心配したことりさんが絵里さんに相談して、それを聞いた亜里沙から話を聞いたんだけどね」
まぁそうじゃなくても高校時代に一躍有名人になったわけだし、同じキャンパス内にいれば噂だって耳に入ってくるよね。しかも私が妹だからって理由で教授たちも何とかならないかって相談しにくるし……。残念ながら手遅れなんです、教授。
海未ちゃん以外にも言っちゃダメっていっとけばよかったぁ、と頭を抱えて後の祭りを開催している姉を見て自業自得だよと心で呟く。
これで多少は唸り声が聞こえるけど、明日提出のレポートに集中できると思ってノートパソコンに向き直る。
「それでも……それでも何か大きな事をやりたいんだよっ!! わーるどわいどだよっ!!」
「諦めないの!? というかどれだけの規模の事をしようとしてるのさ!?」
「世界レベルの事だよ?」
「一介の大学生が出来る範疇を軽く飛び越えてるから、それ……」
まさか諦めてなかったなんて……。しかも世界レベルのでかい事って…………今時小学生でも大人な思考回路してると思うんだけど。
いつから私の姉の思考レベルは大学生から小学生レベルまで落ち込んでたんだろ? 妹として少しだけ恥ずかしいし、何より何でちょっとレベル高めの大学に入れたのかが姉が入学できてからの疑問なんだけど、誰か分かる人いませんか?
「ともかく、いつ叶うか分からない理想より、今目の前に迫ってる現実を直視してよ」
「取り敢えず手始めに何をするのかを決めないとだね」
「聞いて?」
「……………………ヒッチハイクの旅?」
「それは既に電波な少年たちが決行済みだから。世界はそんなに甘くないから」
「じゃあレンタカーの旅!」
「難易度下がり過ぎじゃない!? 免許とレンタカーショップ行けば誰でもできるから、それ!」
私の姉は世界をなんだと思っているのだろうか? というか、本気で世
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