そしてチャンピオンは幽雅に舞う
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「二人とも、お楽しみはそこまでです」
ティヴィルとエメラルド、二人の間に割って入ったのは――この地方に住むもの誰もが知るホウエン地方のチャンピオン。シリア・キルラだった。ワックスで綺麗に整えられた金髪、白いタキシードを着たその姿は、ほかの誰かと見間違えるものではない。
「シリアがなんでここに……?」
「……」
サファイアの疑問に答える者は今はいない。ルビーも何か思うところがあるのか黙っている。
「ああ?何だお前……って、シリアだとぉ!?」
エメラルドも気づいたらしく、驚きの表情を浮かべる。ティヴィルはティヴィルでやたらやかましく反応した。
「なんですとぉー!?チャンピオンがやってくるとは想定外……ですが!私の研究は強靭、無敵、最強――なのです!!ロトム、やってしまいなさい!10万ボルトォー!!」
「出てくるんだヤミラミ!パワージェム!」
シリアの命令と共にヤミラミの瞳が光り輝き、宝石のような煌めきが放たれる。それは10万ボルトの電撃を分散し、霧散させた。シリアはティヴィルをまっすぐ見据え、余裕の笑みで語り掛ける。
「たまたま通りすがってみれば。少年からポケモンを奪おうとするその非道、見過ごしてはおけませんね。これ以上やるというのなら、僕も本気を出させてもらいますよ?」
それは、今はまだ全く本気ではなく。また本気を出せば自分が勝つことは確定していると分かっているからこそ出てくる言葉。そのニュアンスをティヴィルも感じ取ったのだろう。
「言うじゃありませんか。……ならば私も本気で行きますよぉー?レアコイル!炎のトライアタック!」
レアコイルが自分の体で三角形の頂点を形作り、特殊な電磁波を生み出すことで本来レアコイルには扱えない火炎放射に匹敵するほどの炎が放たれる。サファイアとの戦いで見せた特殊なトライアタックだ。
「ヤミラミ、みきりだ!」
ヤミラミの瞳が光り輝き、相手の攻撃を冷静に見切って躱す。
「ふふん、大見えを切った割にはいきなり防御ですか?」
「ええ、そして防御はもう必要ありません。あなたの攻撃は見切りました」
「次のあなたの攻撃で、僕はあなたのレアコイルを倒します」
シリアが宣言する。まるでテレビの中で見るのと同じように優雅に。そして謎めいて幽玄に。思わずサファイアは息の呑む。
「やれるものならやってみなさい!レアコイル、今度は氷のトライアタッーク!」
「ヤミラミ、10万ボルト!」
レアコイルが自分の作り出した三角形に冷気を纏わせると同時、シリアのヤミラミは10万ボルトを放つ。
(レアコイルには効果が薄い技の電気タイプの技で倒すつもりか!?)
サファイアが固唾をのむ中、レアコイルに10万ボル
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