第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#8
FATE TO PHASE
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囲気を漂わせる大柄な男。
オールバックにしたプラチナブロンド、視線を覆う濃いサングラス、
イタリア・ギャング幹部のようなダークスーツ。
一目見ただけで只者ではない、人間ですらないのではないかという威圧感が
その全身から発せられている。
「そうですわね。 “千変” シュドナイ。
貴方を呼んだのは他でもありませんわ」
優美な装飾のカップを置き、ティリエルは眼前の男を気後れする事なく見据えた。
底の知れない能力と夥しい戦功でその存在を彩られる
一人の強大な “王” に。
「 『星の白金』 と “炎髪灼眼の討ち手”
そしてソレに準ずる者達、
私とお兄様で討滅する事にしましたの。
そこで貴方には 「護衛」 として、私達に同行して戴きたいのですわ」
前置きも駆け引きもなく、いきなり本題を口にしたティリエルに
シュドナイはサングラスの奥を微かに細めた。
「これはこれは、また随分唐突な願いだな。
あの妖怪ババアから討滅命令でも出たのかい?」
「エンヤ姉サマに対する侮辱は赦しませんわ。
『星の白金』 よりも先に、貴方が滅ぶ事になりますわよ」
芝居がかった振る舞いの軽口に、少女の青い瞳が張り詰める。
その裡に宿る強い力に、シュドナイは一抹の違和感を覚えた。
(この娘……果たして 『このような』 存在だったか?
“溺愛の抱擁” の噂は何度か耳にしたが、
ソレが兄以外の者に向けられる事はなかった筈だ)
伝聞と本質に差異が生じるのは多々ある事だが、
漠然と狂気と倒錯の偏愛者をイメージしていたシュドナイは
意外な衝撃を受けた。
「……兎に角、貴方は報酬さえ支払えば
『どんな依頼でも受ける』 徒だと聞いておりますわ。
ならばお互いにとって悪くない話だと想いますけど」
自在法で表面の彩色をコーティングした爪を口唇に当てながら、
少女は私憤を諫めて大人びた対応を取る。
シュドナイは興味があるのかないのか、
焙煎の香りが芳しいブラックのコーヒーを口に運んだ。
「ふむ、まぁあくまで 「仕事」 だというのなら受けないでもないが、
しかし 「報酬」 は払えるのか? 100や200の人間では、
この “千変” シュドナイを動かすのは難しいぞ」
己の仕事に誇りを持つ、専 業 家 の顔に不敵な笑みを浮かべ男は少女に問う。
ティリエルの方も予め答えは用意していたのか、顔色一つ変えず応じた。
「炎髪灼眼の持つ宝具、ソレ以外なら何でも好きにして構いませんわ」
「 『にえとののしゃな』 !」
それまで目の前のケーキ類に夢中になっていたソラトが
いきなり開けっ広げな声を出す。
ティリエルはクリームだらけ
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