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Track 1 両手を広げて
活動日誌5 すすめ→とぅもろう! 2
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ている。
 だから彼女達の目には――たくさんの思い出のある風景なんだと思う。
 そんな感じで眺めている凛さん達を見て、漠然(ばくぜん)とそんなことを考えていたのだった。

「……んー、ニャーーーーーーーーーー!」

 突然凛さんは()たけびのような声をあげて、両手を水平にして――まるで飛行機のごとく屋上の奥へと走り出した。
 驚いて凛さんを凝視(ぎょうし)していると――いきなりターンをして此方(こちら)を向く。そして、此方に向かって踊りながら向かってくるのだった。
 凛さんの身体能力は全国でも有数(ゆうすう)のものらしい――まぁ、頂点に輝いたんだからトップなのかも知れないけど?
 そんなハイレベルの凛さんの踊りに心を()さぶられながら見ていると――私と亜里沙の目の前でピタッと止まり、決めのポーズを取った。
 私達は感動して拍手をしようとしたんだけど、凛さんはキッと空を見上げて――

「雨……降らないニャー!」

 そんなことを言い出したのだった。

「何言い出すのよ? 当たり前じゃない」

 呆れた表情を浮かべて答える真姫さんに――

「だって、前は降ったニャ! 今日だって降水確率60%だって言ってたニャ! 格好よく決まらないニャー!」

 そんな事を言い返す凛さん。
 どうやら、前に降水確率60%の日に同じように踊っていて、決めのポーズを取った瞬間にザーッと雨が降り出して、PVみたいだねって言われたらしい。だから、今日も格好よく決めたかったみたいだ。
 ――いや、凛さん、さすがに無理ですから。
 そんな私達を無視して、再び空を見上げたかと思うと――

「雨、ふれーーーーーー!」

 突然そんなことを天に向かって叫ぶのだった。

「バカなこと言っていないで、部室に戻るわよ?」

 真姫さんは凛さんの言動を一刀両断(いっとうりょうだん)にすると、階段へ通じる扉の方へ歩き出した。私達も凛さんには悪いけど、真姫さんと一緒に歩き出していたのだった。

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