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Track 1 両手を広げて
活動日誌5 すすめ→とぅもろう! 1
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ないでいる真姫さんに向かって――
「今日、放課後に雪穂と亜里沙ちゃん来るでしょ? きっと緊張して喉が(かわ)くだろうから、これでジュース買ってあげて? もちろん、真姫ちゃん達の分もあるから飲んで良いよ?」
 そんなことをお願いしてきたらしい。だから頼まれた真姫さんが買ってきたのだった。
 自分達は生徒会の仕事があるから、たぶん遅くなるだろう。
 それに、その場にいなくても2年生がしっかりやってくれるだろうから。自分達はジュースを買って渡すことはないだろうから。
 だから事前に真姫さんに頼んでいたのだと言う。
 
 だけど、この話には続きがある。
 お姉ちゃんは、真姫さんに小銭を手渡した時――
「ちなみに、これは私のお金だって言わなくて良いからね? 真姫ちゃん達からってことにしておいて?」
 そう言っていたそうだ。
 それは――
 あくまでも、真姫さん達に花を持たせる(・・・・・・)為。2年生を立てて言った言葉なのだろう。
 だけど真姫さんは私達に全てを伝えた。もちろん、意地悪で暴露(ばくろ)した訳ではない。
 そもそも、自分達もジュースを買うつもりではいたらしい――緊張をするしないは関係なく、歓迎(かんげい)すると言う理由で。

 それに、さ?
 たぶん真姫さんの方がお姉ちゃんよりも財布の中の在籍人数(・・・・)は多いんじゃない? あと、役職(・・)も!
 きっと、お姉ちゃんが奢らなくても真姫さんは困らないんだろう。だけどお金を受け取った。
 それはお姉ちゃんを立ててくれたから――先輩を立てたからなんだと思う。
 そして――
 私達に伝えたのもお姉ちゃんを立てたからなんだろう。自分達ではなく、お姉ちゃんの功績(こうせき)だと知ってもらう為に。

 私はそんな見えない思いやりを感じながら――互いが互いを思いやって私達へ与えてくれた気持ちを()んで、ジュースを美味しく飲んでいた。
 だって、今の私には返せるものがないから。
 それにお姉ちゃんも真姫さんも、別に私達に何も求めていないんだろう。
 お姉ちゃん達から真姫さん達へ――真姫さん達から私達へ。
 そんな風に受け継いだ思いやり。
 だから、私達は次に来る子達へ――緊張していても、いなくても。
 不安を和らげてあげられるように接する。
 それが、私達が返せるものなんだと思う。
 私はジュースを飲みながら、お姉ちゃんと真姫さん達に心の中で感謝していたのだった。

 まぁ、話を聞いたんだし、真姫さんからも「お礼を言って」と言われたんだから――
 それから数分後にお姉ちゃんが来た時に、キチンとお礼を伝えておいたんだけどね。
 そんな私たちのお礼を聞いたお姉ちゃんは――真姫さんと、じゃれ合っていた。
 いや、一応怒っている|体
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