Track 1 両手を広げて
活動日誌5 すすめ→とぅもろう! 1
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んの右手には、出て行く時にはなかったビニール袋がある。
もちろん他人の持ち物を私が疑問に思うのは失礼なんだけど、どうしても中身が気になってしまった。
そんな感じで、真姫さんのビニール袋を眺めている私の目の前に――
「……はい、コレ飲んで? 好みは知らないから、適当に買ってきたけど……喉を潤すと良いわ?」
そんな言葉を添えて、ビニール袋の中から取り出された紙パックのジュースが置かれたのだった。
私と亜里沙は驚いて真姫さんの顔を見上げる。真姫さんは全員にジュースを渡して席に座るのだった。
「ありがとっ」
「ありがとニャ!」
花陽さん達は特に驚く様子もなく、普通にお礼を述べてジュースを飲み始めていた。つまりは買ってくることを知っていたのだろう。
私と亜里沙は真姫さんに無言で頭を下げて、ジュースを飲み始めて少し飲み終えてから――
「「……ありがとうございます」」
そう、伝えるのだった。
私達は緊張のあまり喉がカラカラになっていた。だから、返事もままならない状態で会話にも参加できなかったのだった。
かと言って、説明して退出しようにも声がまともに出ないから出られなかった。さすがに勝手に飛び出す訳にもいかないじゃん?
そんな感じに困っていた時に差し出されたジュースだったのだ。
こんなにタイミング良く出てくると言うことは――
何かのついでとかじゃなくて、ジュースを買いに行くのが目的だったのだろう。
時間的に考えて、ついでに買ったにしては早い――まぁ、学院にある全ての自販機の位置まで把握していない。いや、学院に何台あるのかさえ知らないけどね?
私の知っている自販機なら? って話なんだけど。
だから、私達が喉がカラカラなのは、3人とも知っていたんじゃないかなって思った。
それで真姫さんは代表してジュースを買いに行った。
私達の曖昧な返答や無言の対応を何も言わずにいてくれた。真姫さんがジュースを買ってくるのを知っていたから――
気づいていても何も言わなかった。そんな感じなのだろう。
自分達も経験してきたから。
自分達も緊張していたから。
そんな風に考えていた私に――
「……まぁ、お礼は穂乃果に言ってあげてね?」
真姫さんは微笑んで伝える。
なんで、お姉ちゃん? 私の疑問の表情に苦笑いを浮かべながら、真姫さんは教えてくれるのだった。
実は――
今日の1時間目の休み時間に、真姫さん達の教室にお姉ちゃんが現れたそうだ。
お姉ちゃんは真姫さんを呼び出してもらうと、突然彼女に小銭を手渡した。
何がなんだか理解でき
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