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Track 1 両手を広げて
活動日誌5 すすめ→とぅもろう! 1
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てた?」
「凛ちゃん……」
「冗談ニャ!」
「「……クスッ」」

 花陽さんの言葉を隣で聞いていた凛さんは、突然 μ's に入ろうとしていた時の花陽さんの話を始める。それに呼応(こおう)するように、今度は花陽さんが言い返していた。
 2人のやり取りを見ていた私達は思わず笑みを溢していた。
 そんな私達を見て――

「……やっと、笑ってくれたね?」
「良かったニャ」

 2人はそんな風に、優しく微笑みながら声をかけてくれたのだった。
 確かに部室に来てから緊張はしていたけど、まったく笑っていなかった訳じゃない。
 だけど、それは造られた笑顔――でもないけど、やはり緊張が下地(したじ)にある笑顔だったのだろう。
 でも今は、緊張から解放されて普通に笑えていたんだと思う。
 彼女達はスクールアイドルだ。
 去年1年間でたくさんの笑顔を見てきた。たくさんの表情を見てきたんだ。だから、私達の笑顔の違いに気づいたんだろう。
 それを気づいたから、こんなやり取りを始めたのかも知れない。
 自分達も通ってきた道。
 きっと自分達もお姉ちゃん達から――先輩から、こんな風に手を差しのべられたんだろう。とても暖かな思いやりと言う()を。

 これは緊張が解けたから気づけたことかも知れないんだけれど? 
 いつの間にか、凛さんの一人称が変わっていることに気づいた。
 どうやら、先輩らしく振舞(ふるま)おうと自分のことを()と呼んでいたらしい。だけど花陽さんとの会話になって、普段(ふだん)の呼び方に戻ったみたい。
 まぁ、語尾(ごび)は最初から変わっていないんだけど? 凛さんも緊張が解けたのかな? って感じたのだった。なんてね。

 だけど別に凛さんの語尾はテンプレートではないらしい。
 あの語尾は自分が自然体でいられて――なおかつ、気分が高揚(こうよう)している時に無意識に出てしまうものらしい。そんな話を花陽さんに教えてもらった。
 これも凛さんの横顔(・・)なのかな? そんなことを考えて嬉しくなったのだった。

♪♪♪

 緊張が解けた私達は、真姫さんの戻りを待ちながら、花陽さん達の会話を微笑みながら聞いていた。
 とは言え、会話に参加する訳ではなく――ただ、2人の会話を聞いて(うなず)いているだけだった。
 別にまだ緊張しているからとか、会話に入れないからとかではなく――も、もちろん、話がしたくないからじゃないんだよ? どちらかと言えば会話に参加したかったし。
 でも、それが出来ない状況に私と亜里沙は陥っていたのだった。

 そんな感じで花陽さん達が会話を続けていると――

「……今、戻ったわ」

 扉が開き、真姫さんが戻ってきたのだった。
 中に入ってきた真姫さ
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