Track 1 両手を広げて
活動日誌4 リッスン とぅー ・ マイ はーと! 2
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イブに足を運んできた。
だけど、音ノ木坂の制服の私達――そして彼女達の想いを発信し続けてきたアイドル研究部の部室で、こうして対面するのは初めてだった。
もちろん、お姉ちゃんを見続けてきたから――
お姉ちゃん達を追いかけてきたから、この対面は必然のことのように思えるかも知れないけど。これも偶然と言う名の奇跡の欠片なんだと思う。
入れ違いで入学した亜里沙のように――他の悲しい選択だって起こっていたかも知れない。花陽さん達と対面することが叶わなかったのかも知れない。
だから、この瞬間も偶然なんだって考えている。
花陽さん達の心には大きな隙間があると思う。去年1年間と言う大きな隙間が。
だけど、前に進もうとしている。
それは、アイドルが好きだから。
音楽が好きだから。
そんな6人分の、それぞれの想いがソコに存在するから。
でも、きっと彼女達を突き動かしている本当の想いは――
託された想い、繋げる意味、伝えたい気持ち。
そう言った自分達の気持ちを、みんなに届けたい――みんなに聞いて欲しいからなんだと思う。
今、目の前に座っているのは2年生の3人だけ。だけど私には、目の前に座っているのが3人しかいないとは思えなかった。
それは、学院の生徒会室にいるお姉ちゃん達。そして学院を旅立った卒業生達。更に学院の先生や生徒達。
スクールアイドル μ's を応援する全ての人達の託された想い、繋げる想い、伝えたい想い。
そう言った人達の気持ちを受けて、私と亜里沙に聞いて欲しい、届けたい――そんな想いを、後輩になる私達へ託す。
私と亜里沙は言葉にしなくても、しっかりと感じられていたのだった。
正式に部長である花陽さんの手に渡ったことにより、私達は正式な部員となった。
それまでの私達はお姉ちゃん達の想いを受け取るばかりだった。
でも、これからは――
私達が届けるんだ!
私達が聞いてもらうんだ!
自分の気持ちを、伝えたいことを、私達が!
私達の想いで、寂しい気持ちも上書きできるように。
私達の気持ちで、つまらない日常をリセットできるように。
そんな風に、全ての人達へ伝えてきたスクールアイドル μ's のように。
託された想いと手にした奇跡の欠片を握り締め、花陽さん達へ私達の言葉にならない気持ちを聞かせるように。
託された想いを聞かせるように真剣に見つめる彼女達を、私達も真剣に見つめ返していたのだった。
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