57.第七地獄・四聖諦界
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正面から受け止め続けるのがオーネスト・ライアーだ。それは勝とうとしているのではない。ただ前へ進み、いつか果てようとしているだけだ。
『今日は、そうじゃないんだろうな?』
そう――そうだった。
約束は守る。気に入らないが、確かにそうしないと道理が通らない。
俺は、俺自身に課した一つの『わがまま』を、折った。
『己が自由の為ならば、我が身を虚偽にて染め上げよう。汝は炎を掴めるか。風を抱擁できるのか。出来ると真に思うなら――袖を掴んで真の名前を告げてみよ――』
その詠唱が耳に届くのとほぼ同時――黒竜が反射的に振るった首の角に、骨の髄まで響くほどの運動エネルギーが込められた鈍色の刃が激突した。
瞬間、衝撃。
空間が揺らぎ、黒竜の体が僅かに後方に弾かれる。空の支配者が、空で圧される。
体を弾いた正体は、黒竜の前の前でわざとらしく舌打ちしながらその刃を構える。
「使う気はなかったんだがな………お前を相手に出し惜しみしてくたばるのも癪だから態々使ってやった。俺にこんな忌々しい魔法を使わせたんだ、お前は。分かるか?これまで3度も繰り返した無様な結末を、これでも繰り返すなどと――」
――全身に旋風を纏って空を駆ける風の化身。
――空の王たる黒竜の天下に弓引くは、神聖なりし風天。
「そんな半端な結果は誰が許そうが俺が絶対に許さんッ!!」
オーネスト・ライアーの滅気が、天空の支配を砕くように爆ぜた。
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