謎の博士、ティヴィル
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――さっきのユキワラシの粉雪とは比べ物にならない勢いで、その体を凍り付かせる。勝負は決した。
「カゲボウズ!!ごめん、俺……」
相手が特殊な攻撃技を放ったからといって焦ってしまった。そんなことではチャンピオンのバトルとは程遠い。何より自分の相棒を瀕死にしてしまったことが悔しくて、目の前が真っ暗になる。
「ハッーハッハッハ!思ったよりは頑張りましたが、まだまだ私には及ばないようですね。そのカゲボウズにも興味はありますが、部下の非礼に免じて見逃してあげます。私は優しいですから……おやぁー?」
ファンファンファンと、警察のやってくる音がする。そのあとどうなったかは、サファイアにはわからない。凍り付いたカゲボウズをすがるように抱きしめて、そのまま気を失ってしまったからだ。
――サファイアは夢を見た。
霧が鬱蒼と立ち込める墓地だらけの場所。そのどこかで幼い自分が迷って泣いている夢。泣いている自分に、誰かが寄り添ってくれている夢を。幼い自分と同じくらいのその子は紅白の巫女服に、綺麗な黒髪を腰まで伸ばしていて――
「カゲ、ボウズ……?」
サファイアが目を覚ますと、そこはポケモンセンターだった。先に治療をしてもらったのであろうカゲボウズが、サファイアの周りを心配そうにうろうろしている。そのことが何よりも安心できた。もしカゲボウズを奪われてしまったら、もう旅なんて出来やしない。
「やあ、おはようサファイア君。敗戦の味はどうだい?」
「ルビー……」
ルビーは何事もなかったかのように、椅子に座ってキャンディーを舐めている。
「そっか、負けたんだな……俺」
「まあね、ひどいもんだったよ。あれはチャンピオンの真似かい?はっきり言って、似合っていないよ」
「なっ……いきなり何を言うんだよ!俺はシリアに憧れて……」
「あのチャンピオンに、ねえ……まあ好きにすればいいさ。ボクは勧めないけどね」
やはり何か、ルビーはチャンピオンに関してよく思っていない節がある。もっと言うなら、サファイアがチャンピオンのバトルスタイルを模倣していることもだ。
「そんなことより、あの後……どうなったんだ?あいつらは……」
「ああ、彼らなら逃げたよ。警察も追跡してたんだけどね。見失ったそうだ」
「そっか……止めれなかったんだな。ルビーが警察を呼んでくれたのか?」
そうだよ、とルビーは言った。どうやら彼女は極力厄介ごとに関わりたくないらしい。だけど、今は素直に感謝するべきだ。あの時警察が来ていなかったら、本当にカゲボウズは奪われていたかもしれないから。
「……俺、強くなるよ」
「何だい、急に?トレーナーとして旅をする以上は当たり前のことじゃないか」
「ああ。だけどもっ
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