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幽雅に舞え!
旅立ちは彼を目指して
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高くはなさそうだったが……技マシンで覚えさせたんだろう、10万ボルトを使ってきた……」

「技マシンってあれだろ。ポケモンに技を覚えさせられるけど、なかなか手に入らないってやつ……そんなの持ってるのに、随分欲張りな奴だな」

「ああ……珍しいものは何でも手に入れないと気が済まない、そんな子だったよ」

「わかった。そんな奴は俺がとっちめてやる!!それくらいできなきゃ、チャンピオンになんか届きっこないからな!!」

拳を上げて、博士に宣言する。それを見た博士は、今日会って初めて笑顔を浮かべた。

「……君は本当に元気でいい子だ。だけど、無理はしてはいけないぞ。

何も渡せなくて悪いが、君の旅がよいものになることを願っている」

博士が腕で十字を切り、サファイアに向かって祈る。それはなんだか気恥ずかしかったけど、博士はいつも真剣に祈っているから、サファイアも茶化さなかった。

「……それじゃあ行ってくるよ。博士。

博士も元気で――――」

研究所を後にする。博士の言う珍しいポケモンは手にできなかったけど、サファイアのたびに当面の目標が出来た。嬉しいことではないけれど、確かな目的を胸に――サファイアとカゲボウズの旅は、始まったのだ。



ミシロタウンを出て、101番道路を歩く。ミシロタウンから出るときはいつも親と一緒に車に乗っていたし、勝手に野生ポケモンが出る草むらに入ってはいけないと親にきつく言われていた。だから初めて歩く野生のポケモンが出てくる草むらの感触をしっかりと踏みしめる。

「カゲボウズ、ナイトヘッドだ!」

時折出てくる野生のジグザグマやポチエナは難なく一撃で倒せる。カゲボウズはおくりびやまで仲間にしたのでもともとのレベルが高いということもあるし、家でチャンピオンのバトルを研究したりトレーニングをしていたのもある。家でチャンピオンのバトルを見ていた時、サファイアがジュペッタの影分身に気付いていたのはそのためだ。ノーマルタイプのジグザグマも、思い切りおどろかすやナイトヘッドを使えばダメージを与えなくても逃げさせられるくらいのことは出来る。

「へへっ、楽勝楽勝!……でも、少し手ごたえがなさすぎるかな……」

予想はしていたことだが、さすがにレベルの差がありすぎる。苦手なタイプのポチエナでさえ悪タイプの技を覚えていないのだから勝負にならない。なにせノーマルタイプの技はカゲボウズには意味をなさないのだから。

それでも、人間であるサファイアにとってはポケモンの身体能力は脅威だ。決して草むらの揺れは見逃さず、歩みを進めていく……と、何やらコトキタウンの方から赤いガスマスクのような覆面をかぶった痩せぎすの男が走ってきた。

その男は、サファイアに向かってこう
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