旅立ちは彼を目指して
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「大丈夫だよ母さん。俺は……亡霊ゴーストになんてならないから。必ず帰ってくる」
ここ小さな町、ミシロタウン。サファイアと博士の家は近い。10分とかからないくらいの距離だ。決意とともに踏み出したサファイアの足取りは――意外な形で急かされることになる。カゲボウズの角がまたピンと立ち……博士の家の方から、黒いエネルギーを吸収し始めたからだ。その意味を、サファイアはすぐに察する。
(こいつは負の感情をキャッチしてそれを吸収できる。それもこの色だとかなり強い。今博士の家から負の感情が出てるってことは……)
全力で走り出す。カゲボウズも事態はわかっているので何を言うまでもなくついてくる。負の感情を放っているのが誰なのかはわからない。博士なのか、別の誰かか。博士は温厚な人で怒ったところを見たことがないし、また一人暮らしでもあったからだ。カゲボウズの吸い取るエネルギーの量も相当で、ちょっとやそっとの揉め事とは思えない。博士がのっぴきならない事態になっていることは間違いなかった。
「博士!レイヴン博士……ッ!」
大急ぎで扉を開ける。すると目に入ったのは、服を焼けこげさせて倒れている博士の姿だった。駆け寄ってみると、博士は申し訳なさそうにサファイアに言う。
「済まないサファイア君。君に渡すはずだったポケモンが………………」
「今は喋らなくていいよ!くそっ、なんだってこんなこと……」
リュックの中から傷薬を取り出す。カゲボウズに負の感情を吸収させることで落ち着かせながら、サファイアはできる限りの治療を試みた。傷薬を塗り、母親に持たされた包帯を火傷になっている部分に巻き付ける。拙くとも真剣にやったおかげか。ひとまず博士はしっかり話せる程度にはなった。
「それで……何があったんだ?誰がこんなこと……」
サファイア自身ひとまず手当てを終えたからか、謎の襲撃者への怒りがこみあげてくる。だがその感情はすかさずカゲボウズに食べられた。自分のポケモンに窘められたようで、反省する。
「……ごめん、怒ってる場合じゃないよな。教えてくれ、博士」
「君より年下の、赤い髪に緑の目をした子だ……本当なら君とその子、そしてもう一人に一匹ずつ渡すはずだったのだが、それが気に入らないと……3匹とも寄越せと言ってきた。それは出来ないといったら……この有様だ」
「そっか……博士の気にすることじゃないよ。悪いのはそいつだ。そいつ、どんなポケモンを使ってたんだ?」
珍しいポケモンを分けてもらえるだけでもありがたいのにこんなふうに暴れるなんてとんでもない奴だ。怒りとは別にしても、見つけてやっつける必要があるとサファイアは思った。
「……コイルだ。取り戻すつもりなら気を付けてくれ。レベルはそう
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