第十七話 姉妹の薔薇その十一
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「信仰は唯一であり」
「新教は間違っていると」
「そうなのでは」
「建前と現実があります」
司教はマイラにあえてこのことを述べた。
「そしてです」
「建前は、ですか」
「はい、旧教は絶対でも」
「それでもですか」
「新教とはです」
「あえてですか」
「融和に務めるべきなのです」
「信仰は唯一でも」
マイラは自身の考えから司教に問うた。
「そうなのですか」
「はい、妥協もまたです」
「必要ですか」
「そのことはご理解下さい」
「私はどうも」
生真面目さ故にだ、マイラは司教の今はの言葉には顔を曇らせて返した。納得していないのは明らかだった。
「そうした考えは」
「出来ませんか」
「どうも」
「そうですか、しかし」
「それでもですか」
「そこをです」
「納得してですか」
マイラは司教の言葉を受けて言った。
「妥協もですか」
「必要なのです」
「国の為に」
「国の中で争ってはなりません」
絶対にという返事だった。
「それは」
「そこは、ですか」
「若し争えば」
国の中でというのだ。
「それは国を滅ぼすので」
「だから新教もまた」
「牽制はして優位には立っても」
旧教側がだ。
「それでもです」
「徹底的にはですか」
「排除してはなりません」
異端審問官達がそうする様にだ。
「そこまでは、現に王国ではです」
「あの国では」
「旧教と新教が争いましたね」
「はい」
このことはマイラも知っている、王母が有力な新教徒達の粛清を命じたがそれが暴走して虐殺から内戦にまで至ったのだ。
「そして、でしたね」
「あの国は大きな傷を負いました」
「そうなりましたね」
「当時我が国も乱れていたので幸いでしたが」
敵である王国の内戦はだ。
「しかしです」
「それを見ればですね」
「国内で争うことは愚の骨頂です」
「だからですか」
「断じてです」
「新教徒達とは、ですか」
「融和すべきです、そして」
そのうえでというのだ。
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