第十七話 姉妹の薔薇その七
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「何もならないけれど」
「私はそうは思わないので」
「言っている意味がわからないわ、けれど」
無表情のままでもだ、マイラは妹に答えた。
「貴女が会いたいというのなら」
「お会いして頂けるのですか」
「そこまで言うのなら」
それならと言うのだった。
「私も受けるわ、いえ」
「いえ?」
「受けなくてはいけないと思うから」
それ故にというのだ。
「自然と、そう思うから」
「だからですか」
「また会いましょう」
「それでは」
マリーは微かにだが笑った、姉がそう言ってくれたので。
だが話はこれで終わりだ、マイラは自分からマリーに言った。
「ではね」
「これで、ですか」
「今日は終わりましょう」
こう言ったのだった。
「お話は」
「そうですか」
残念な顔になりだ、マリーは姉に応えた。
「それでは」
「その様に」
「またお願いします」
「場所はここね」
「ここでお話して頂けますか」
「そうすることにしたいわ」
こうマリーに返したのだった。
「では今日は」
「またお願いします」
「それでは」
マイラは表情を崩さないまま応えた、そのうえで。
自分の部屋に帰った時にだ、付き添った司教に言ったのだった。
「マリーはあれで満足なのでしょうか」
「お別れになられも戻られる時ですが」
その時のマリーをだ、司教はマイラに話した。
「残念そうでしたがそれでも」
「満足していたと」
「そうしたお顔でした」
「残念そうでいて満足だった」
「相反するというのですね」
「おかしな表情だと思います」
「ですがそのお顔がです」
まさにとだ、司教はマイラに話した。
「マリー様の今のお気持ちなのです」
「そうなのですか」
「あの方はマリー様とさらにお話したかったのです」
「それ故に残念だったのですか」
「ですがお話で来たので」
「満足だったのですね」
「そうかと」
司教はマイラの畏まった態度で述べた。
「私はそう見ました」
「そうですか、しかし何故そう思うのか」
「おわかりになられないですか」
「私なぞと会って」
「それは姉妹だからですが」
「マリーもそう言っていましたが」
しかしとだ、マイラは顔を曇らせて司教に言葉を返した。
「ですが私は」
「側室のお子であられるからですか」
「そして王位継承権もあの娘より下です」
このことは側室の子故に決まった面は確かにあった、それがあるからこそ王も正室の子と側室の子の法的な差別を解消しようと考えているのだ。
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