第三百七十二話
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第三百七十二話 移動式要塞
博士は八時に研究室に入り十時に小田切君達がいる研究所のパソコンがある部屋に来た、そのうえで彼等に言った。
「要塞が完成したぞ」
「あっ、そうですか」
「相変わらず速いね」
「二時間しか経ってないぜ」
小田切君だけでなく彼と一緒にいて彼の仕事を見守っていたタロとライゾウも言った。
「それじゃあ今から」
「自衛隊の基地になんだ」
「攻撃仕掛けるんだな」
「そうじゃ、移動要塞にはわしが乗る」
博士自らというのだ。
「そして派手に喧嘩をしてくるわ」
「何かこうして博士って時々自衛隊と戦うけれど」
「自衛隊にとっちゃ迷惑だよな」
タロとライゾウはピクニックに行く様にウキウキとしている博士を見つつ話をした。
「災害とかPKOとかでも忙しいのに」
「国防のお仕事にな」
「こうして博士が攻めて来るとか」
「嫌だろうな」
「何、自衛隊の兵器は破壊するがじゃ」
それでもと言う博士だった。
「わしは自衛官の命は奪わんぞ」
「殺すのはその辺りの不良とかチンピラとかヤクザ屋さんだけですよね」
「そうした連中は好かん」
小田切君にこう答えた。
「悪事は思いきり大きなことをするものじゃ」
「博士みたいにですね」
「普通の人達をいじめて喜ぶ小悪党なぞはじゃ」
チンピラだのヤクザ屋等がまさにそれである。
「わしは見ていると殺したくなるのじゃ」
「だから容赦なくですか」
「殺しておる」
「それも今まで何億とですね」
「そうしてきた」
実は宇宙最悪のシリアルキラーでもある。
「二百億年生きてきてな」
「他の星でも」
「そうしてきたのじゃ、まあその話はいいとしてじゃ」
「今からですね」
「ちょっと行って来る」
軽く近所に買いものに行く感じの言葉である。
「留守番を頼むぞ、ついでに帰りは駅前の商店街で買いものをして来る」
「晩御飯のですね」
「昼は冷蔵庫の中に焼きそばの麺と具があるからな」
「それで、ですね」
「家事ロボットに作らせて食べておいてくれ」
「わかりました」
「わしは要塞の中に途中でコンビニに寄って買ったものを適当に食べる」
ごく普通の感覚である、自衛隊の基地に攻め込む前であるが。
「タロとライゾウの御飯も頼んだぞ」
「ドッグフードとキャットフードですね」
「忘れぬ様にな」
「絶対に忘れませんから」
笑って返す小田切君だった、そんなやり取りをしてから博士は意気揚々と要塞に乗り出撃した。やはりピクニックに行く様な感じで。
第三百七十二話 完
2016・8・25
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