第7話『闇の暗殺集団〜七鎖走る!』
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画だ。
事実、ノアは今回のアルサス遠征において、ただの監視役だった。ガヌロンの動向を探る密偵として――
「ノア。貴様に一つ、やってほしいことがある。頼まれてくれるか?」
苛烈者として知られるテナルディエが、一歩引いた態度で依頼するなど、従者が見たら到底信じられない。
それほどまで、このノア=カートライトはテナルディエの全幅の信頼を置かれている。
「懲罰以外なら、なんなりと」
「ここブリューヌへ、七戦騎を全員終結させるのだ」
七戦騎とは、テナルディエ軍の精鋭であり、ブリューヌ転覆計画を執行する為の特殊部隊だ。
「ヴォルンさんにぶつける気ですか?別にいいですけど、ガイさんの出方を伺ってからの方がいいんじゃないですか?」
獅子王凱。伝説上の霊獣を冠する名は、既にテナルディエの耳に届いていた。
時代を動かす力を持ちながら、愛だの不殺だのそんな甘っちょろい戯言をほざき続ける半端もの。
眠れる獅子の存在は出方が分からないため、とりあえず心に留めておくことにした。
「一つ申し上げておきますけど、多分、ガイさんはこっちへなびきそうにないですよ?」
弱者を糧とする獅子王にとって、弱者の糧となろうとする獅子王の信念は、彼にとって相反するものでしかない。
「かまわん。言われるまでもなく、七戦騎は重要な特攻部隊。ブリューヌ内乱に合わせて、私が奴らの使い方を考えておく。『慣らし』も必要だろうからな。貴様とて、シシオウ=ガイとかいう男の決着を付けたいはずだ」
「あちゃーばれましたか?」
芝居がかったノアの言葉に、テナルディエは薄く笑みを浮かべた。こういう度胸の高さは、テナルディエが彼を気に入っている要素の一つである。
「それに、ホレーショーのように所在を掴み難い連中もいる。収集には時間がかかるはずだ。恐らく、七戦騎が終結する頃には、ブリューヌ内乱も目途が立っている」
「分かりました。では失礼します」
ノアを下がらせて、テナルディエは次の展開を構築する。
銀製のグラスに映る己の顔を見ながら、テナルディエはゆっくりつぶやく。
「そういえば、ガヌロンもジスタートの戦姫と付き合いがあったな。東の連中が転がり込んだこの情勢、あの男はどう出るやら」
今まで弱者しか溢れていなかったこのブリューヌだったが、今は強者がうごめく地獄となりつつある。
以前、ノアがテナルディエの傘下に入ったときに聞きだしたことを思い出した。ジスタートより遥か東の大陸で、憎悪と復讐の輪廻が織りなす、阿鼻叫喚の代理契約戦争があったことを――
『ジスタート・オルミュッツ公国・執務室』
春咲を告げる待雪草―バトスネジユ
夏夜を彩る煌蛍―キラホタル
秋
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