第5話『蘇る魔弾!解き放たれた女神の意志!』
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のは、ティッタ。君しかいない」
「あたしが……ティグル様を……」
「うん。戦いから帰ってきた時、戦い以外で彼を支える。それが出来るのは、何年も彼と一緒で、近くで彼を見てきた君だけだ」
「……出来るんでしょうか?あたしなんかに……誰一人守る力を持たないあたしなんかに……」
力がないのが悔しかった。だから、ついさっきは凱の戦いを見て嫉妬じみたことを発言してしまったのだ。「あたしにも、ガイさんみたいに戦う力と勇気があれば」と。
「ティッタ。君は今回の事で学んだはずだ。そして、君自身の勇気を試されたはずだ」
「勇気……」
「敵と戦う事だけが勇気じゃない。でも、戦わざることも、勇気とは言えない。怖い気持ちを乗り越えて、誰かの為の力になる。それが勇気だと、君は心で感じて知ったはずだ」
長髪の青年に言われて、ティッタは心の内で決意していたことを思い返した。
ティグルの抱えている、若しくは、今後抱えていく悩みは、一介の侍女のティッタには分からない。例え知ったところで、何の力にもなれないと思っていた。
――自分はどんな時でも、自分はどんな場所でも、ティグル様の味方です――
――あたしは、どこまでもティグル様についていきます!――
一緒に、そばに居続ける。勇気の形は幾らでもある。
「彼の事を宜しく頼むよ。だから……」
凱がさらに言葉を言い募ろうとしたとき――不快感な黒い風が、二人を吹き付けてきた。
「ティッタ!?」
直後、ティッタの身体が硬直し、だらりと垂れたかと思えば、ゆっくり体を上げて、独り言のようにつぶやく。
その異常な光景に、凱は思わず彼女の肩を揺さぶった。
『竜を撃ちなさい』
誰の声だ?
妖艶じみた声?
違う!ティッタの声はこんな淀みのあるものじゃない!
『もう一度言うわ。竜を撃ちなさい』
さらに言葉を紡ぐティッタ?に、凱は声を掛け続ける。
「!ティッタ!?何を言ってるんだ!?」
一体、誰と話をしている?ティッタは本当にどうしたというのだ?
澄んだ瞳は赤く染まり、竜の牙のように鋭い視線で、『モルザイム平原』を見据えていた。
「ティッタ!?ティッタ!?俺の声が聞こえないのか!?」
空を見上げるティッタに不安を抱いた凱は、彼女の両肩を激しく揺さぶった。
すると、彼女は紅に染まった瞳を凱に向け、優雅な手つきで凱の手をほどいた。
『あなたは黙って見ていなさい』
「何!?」
ティッタ……じゃない!
『死ね。ザイアン=テナルディエ』
素朴で純粋な少女の口から出た言葉は……何を言った?
相手の存在を否定する言葉?どうして
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