第5話『蘇る魔弾!解き放たれた女神の意志!』
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――ああ、もちろん私もそう信じている。お前が正しい心を持ち続ける事。民を守る優しい心を持ち続ける事。ブリューヌの人々が、世界がそう願う事を――
希望の為に。確かにあの時、自身はそういった。
絶望の淵に立たされた今この時こそ、希望の為に使うべきではないのか?
(馴染む……)
一カ月以上、放置していたにも関わらず、その黒い弓は手応えのある弾力を指に伝え、ティグルの決意を微かに震い立たせる。
『弓を握る感覚が無い』ほど、この黒い弓はティグルの手のひらに馴染んでいる。先ほど破損した弓以上の馴熟性を、ティグルは確かに感じ取っていた。
文字通り、この弓はティグルの腕の延長となって、敵を射倒してくれそうな気もしてくる。
「若ぁぁぁ!」「「バートラン」さん!」
異口同音の名を呼び、馬に乗ってやってくるバートランに向けて手を振って返事する。その後ろに、禿頭の弓兵の姿もあった。
「ティグルヴルムド卿!?」
「若!ティッタ!大丈夫ですかい!?」
「ああバートラン、見ての通りだ。ル―リック。ティッタを頼む」
侍女の身柄を禿頭の彼に託し、自身は騎乗して戦闘態勢へ移行する。
「ティグル様、お気をつけて」
ル―リックの後ろで、ティッタは彼の帰還を祈った。
大切な人の帰りを待つ者は、その間だけ心を苦しませ、苛ませる。それは、ティグルが捕虜となった時、身をもって知った。
だが、ティッタは涙を浮かべていた以前と違い、強い意志を以て、ティグルを戦場へ送り出す覚悟を決めた。
大切な人を待つ勇気。それを持ち続ける強さを、この少女は得つつあるのだ。
「あ、ティグル様!あと……」
何か大切なことを思い出したかのように、ティッタは一時、ティグルを呼び止める。
「ティグル様に……どうしてもお会いして頂きたい人がいるんです。だから……必ず、帰ってきてください!」
――あの人のおかげで、あたしは生きられた。――
――あの人のおかげで、アルサスの人々は守られた。――
――あの人のおかげで、燻ぶっていた心に、勇気の煌灯が灯り始めた。――
――あの人は、「守ってやる!ティッタの居場所も!全部全部俺に守らせてくれ!」という約束を守ってくれた。――
――あの人は……決して嘘をつかなかった。――
――あの人は……あの人は……あの人は……――
思い返すたびに、ティッタの涙腺が緩み、顔をうつ伏せてしまう。
会ってほしい人。ティグルには思い当たる節があった。その人物は、アルサスに向かう道中、バートランから聞いていた。
バートランのあまりの熱弁ぶりに、ティグルもその人に会いたいという興味が溢れてきたのだ。
シシオウ=ガイ。
姓と名が入れ替わっている、独特の発音を有する
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