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ソードアート・オンライン‐黒の幻影‐
第2章 魔女のオペレッタ  2024/08 
最後の物語:夢を追う資格
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だけで木の実を大量に収集していたわけではない。
 それは、ピニオラが起こした惨劇である《原油カレー事件》の再発を許さない為の措置。低レアで際限なく収集可能な木の実を用いて、現状のピニオラが製作するにあたって《成功させる見込みのある料理》を造り続けることで料理スキルの熟練度を強引に育ててしまおうという作戦の第一段階。
 結果、心折れかけたピニオラを支えるべく一肌脱いだみことは、大好きな同居人の笑顔の為に、荒ぶるテンションに身を任せて小さな果実を乱獲し、現在に至る。その助けもあって、ピニオラの一計によってスキルロットに収まった《収集(コレクト)》スキルは確実な成長を見せ、挙句の果てにModを獲得する始末。お子様と収集スキルの親和性の高さにピニオラも驚愕を禁じ得なかったのは別の話。
 ともあれ、これまで収穫された木の実は、ピニオラが料理スキル熟練度向上の為に自らに課した《美味しいものが作れるまでジャム作成(ジャムマラソン)》を優に三十回は繰り返せる数量となっている。こちらの成長も期待できよう。
 チュートリアル時から一人でこの浮遊城を生きたみことは、畢竟《出来る幼女》であった。

 そんなみことの活躍に感謝しつつ、ピニオラは果実をストレージに納めてバスケットをみことに返して、店売りではあるものの用意した食料を、木陰に敷いたシートの上に並べて昼食の準備を整える。時刻は十一時四十三分。正午には少し早いが、みことのテンションが再燃してしまえば中断は困難だと判断しての決断である。思惑通り、大人しくシートの上に腰を下ろしたみことは「いただきます」の一言の後に手近なサンドイッチへと手を伸ばす。


「ところでみことさん、この場所についてどう思いますぅ?」
「この場所………?」


 唐突な質問を向けられて、みことは首を傾げる。
 だが、深く思考するにも判断材料のないみことは早々に返答を口にした。


「ここ、楽しいよ? いっぱい遊べるもん」
「じゃあ、ここに新しいお家を買って一緒に住むとしたらぁ………みことさんは嬉しいですかぁ?」


 新たな質問を向けられるが、みことの反応は先のものとは大きく変化していた。
 目を輝かせてはいるものの、しかしそれが事実であるのかを俄に訝しむ、難しい表情。期待と不安の入り混じるみことに、ピニオラは満を持して言葉を投げかける。


「疑わなくったって本当ですよぉ。今までのお家は二人では狭かったのでぇ、ちょっとだけ頑張っちゃいました〜」


 とはいうものの、このSAOにおいて一件屋を購入するという事は並大抵ではない資金が不可欠となる。
 しかし、ピニオラは幸いにも元手となる現金を潤沢に有していた。収入源となったのは、彼女にPKの筋書きを依頼したプレイヤー達からの報酬。或いは、純粋にレ
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