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Track 1 両手を広げて
活動日誌3 のーぶらんど・がーるず! 2
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入部届を眺めると、微笑みを浮かべて受け取った。
 先生が言った「やる気ね?」とは――実は、この学院の新入生が部活動を決めるのは当分先の話だから。そう、大抵の生徒は部活説明会――そして部活勧誘を受けて決めるものだった。

 もちろん、入学をした時点から生徒としての資格はあるのだから、今入部を決めても問題はない。そんな理由で、私達は先生に頼んで昨日入部届をもらっていた。
 だけど先生も、次の日の放課後に提出するとは思っていなかったんだろう。だから、やる気ね? と言ったんだと思う。
 まぁ、実際に私達はやる気なので微笑みを返しておいたんだけど? なんてね。

 先生は1枚目を切り取り、2枚目に判を押すと私達に手渡してきた。
 それを受け取って、礼を告げる私達。

「……ところで、私の承認がそんなに信用できないのかしら?」
「えっ!? ……そんなことある訳ないじゃないですかー? あはは……」
「……まぁ、いいわ? ――それよりも?」

 手渡した先生は、私達への視線を私達の後ろへ向けながら、背後にいるお姉ちゃんへと言葉を投げかける。突然話を振られたお姉ちゃんは慌てて否定をしていた。
 そんなお姉ちゃんを(なが)めながら、呆れた表情を浮かべていた先生は言葉を繋げるのだった。

「あなた、園田(そのだ)さんに会った?」
「……いえ、会ってませんけど?」
「そう……さっき探していたわよ?」
「えっ? …………」

 お姉ちゃんは先生の言葉を聞いてサーッと血の気が引いていた。まぁ、察しは十分についたんだけど?
 ちなみに先生の言った園田さんとは海未さんの苗字だ。
 つまり、生徒会の仕事を放り出して私のところに来たんだろう。当然海未さんには内緒で。
 
「――そ、そんな訳だから、私は生徒会室に戻るけど部室へは行けるよね? ぶ、部室に行けば花陽ちゃん達が、い、いるからっ! ――じゃ、じゃあね!」

 職員室を出るとお姉ちゃんは捲くし立てるように部室への道を教えると、こんなことを言って足早に去っていくのだった。
 そんな慌てて去っていくお姉ちゃんの後姿を眺めて、見えなくなるのを確認すると――私達は同時に吹き出し笑いをしてしまった。
 とは言え、職員室の前だから慌てて口を抑えて――それでも止まりそうになかったので、私達も部室を目指して足早に職員室を離れるのだった。

♪♪♪

 職員室からアイドル研究部の部室へ歩いている途中――
 教室から職員室へ向かう途中に比べて、とても静かに感じられた。
 それはお姉ちゃんがうるさかった訳でも、元々人通りが少ないからでもない。

 ただ、お姉ちゃんへ向けられていた感嘆の声がなくなっただけ。私達は普通の生徒に過ぎないってことを痛感(つうかん)させられた。
 そう
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