Track 1 両手を広げて
活動日誌3 のーぶらんど・がーるず! 2
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には、他の学校とは少し異なる形式の入部届が用いられてる。
いや、他の学校は知らないからわかんないんだけど、ね?
とは言え、見た目的には何も変わらないのだと思う。
普通にクラス、氏名、入部希望の部活名。
それだけを記入する枠が存在するだけの普通の小さな用紙。
だけどそれが2枚綴りで渡されるのだった。もちろん転写なんてされない普通の用紙がホッチキスで綴じてあるだけの用紙。
つまり、2枚とも記入をしなくてはいけないのだった。
でも、これにはちゃんとした理由がある。
そもそも、この2枚綴りを綴じているのは教師や事務員ではない。ましてや、外部の人達でもなかった。
この2枚綴りの用紙を綴じているのは――去年の卒業生の先輩達だったのだ。
これは、毎年の通例行事なのだと言う。
その年の卒業生達全員が卒業式の前日に集まり――教室で先生から配られる、入部届が印刷された用紙を綴じる。
卒業生全員に対して新入生分だから、それほどの作業でもない。それに、別に学院側が面倒だからと押し付けている訳でもない。
これは本人達の意思や託した想いなのだと言う。
自分達はもうこの場所にはいない。だけど自分達が大好きだったこの場所で――新入生達が自分達の居場所を見つけて楽しんで大好きだって思ってほしい。そんな願いを込めて綴じる。
その場に存在しなくても、自分達は此処にいる。
そんな私達との繋がりを持っていられる為。時間を越えて私達との絆を持ち続けていきたいから、卒業生達は望んでおこなっているのだと。
この話は入学式を終えて教室に戻ってきた時に、先生の口から伝えられた話。
繋がる想い、託された時間、次へと繋げる意味。
たぶん、今年度の新入生には誰よりもその意味が深く感じられているだろう。
そんな託された想いに、私達は自分達の居場所を決めて希望の部活を書き記す――だから2枚綴りになっているんだと思う。
勢いやノリで決めて書いた1枚目――もちろん、ちゃんと決めているんだろうけど。
2枚目を書く時点でキチンと自分の心と向き合えるように――自分の気持ちを再確認する為に、同じことを書くのだろう。そんな気がするのだった。
そんな内面の意味もあるのだけど、当然外面の理由だって存在する。
それが――
「って言うかさ? 私達、先に職員室に寄るんだけど?」
「え? ……あーっ! うん、そうだよね? ……ごめんね?」
私の言った『職員室に寄って』と言うのは、先に担任の先生へ入部届の1枚目を提出することだった。
お姉ちゃんは私の言葉に一瞬戸惑ったけど
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