Track 1 両手を広げて
活動日誌2 あいしてる・ばんざーい! 3
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おしそうにピアノを眺めていた。
私達は、そんな真姫さんの姿を眺めたあと、互いに見つめて笑顔を交わし――同時に音楽室の中の真姫さんに向かって、無言で頭を下げてから、足早に自分達の教室へと戻っていくのだった。
「……あのさ?」
「……ん?」
教室に戻る途中、私は前を向きながら亜里沙に声をかける。同じく前を向きながら、亜里沙が聞き返してきた。
「……入部届、放課後に出すって決めて良かったね?」
「……うん!」
私は素直に昨日2人で決めたことを良かったと思っていた。
もしも入部届を提出してしまっていたら、校内を歩き回ることはしなかった気がする。
真姫さんに会うこともなかっただろう――そうしたら、真姫さんの横顔を見れなかった。真姫さんの音楽が好きだって想いに触れられなかっただろう。
別に部員になってからでも経験できるのかも知れない。
だけど――これも、偶然の奇跡の欠片。
ただの生徒として与えられた、私達の物語の1ページ。
私達の出した答えに導かれた贈り物――そんな気がしているのだった。
私は心の中で、真姫さんが弾き語りをしていた――そして、私達が腕立て伏せをしながら歌ったアノ曲を口ずさんでいた。
そう、私は素直に思える――音ノ木坂に入れてよかった。
今日、真姫さんに会えてよかった。
私達がお姉ちゃんや絵里さんの妹でよかった。
だって――私達の今がここにあるから。
「〜♪〜」
「……。 〜♪〜」
サビにさしかかった時、私は思わず声に出して小さい声で歌い始めていた。
隣を歩く亜里沙も、笑顔を浮かべて一緒に歌ってくれていた。
私は心の中で天高く両手を掲げる。
そうなんだ、私達は始まったばかりなんだ!
そんな希望を抱いた私達は、歌い終わって微笑みを交わすと――前だけを見て自分達の教室へと歩き続けるのだった。
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