Track 1 両手を広げて
活動日誌2 あいしてる・ばんざーい! 1
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ているのかも知れません。もしかしたら、あの2人に勝てる人はいないんじゃないか? とさえ思ってしまいます」
そんなことを言っていた。
だけど隣で聞いていたお姉ちゃんは――
「えー? そんなことないよー? 亜里沙ちゃんはともかく、ことりちゃんには勝てる人いるし?」
そんなことを言い出す。
当然、海未さんは誰かと聞き返すのだけどお姉ちゃんは満面の笑みを浮かべて――
「寝起きの海未ちゃん!」
と、自ら地雷に飛び込む行為に出た。
いや? お姉ちゃん――それは勇気とは言わずに無謀と言うんだよ?
お姉ちゃんは掛け算が苦手なのは知っていたけど――駆け引きも苦手なようだった。
当然、その後お姉ちゃんは正座をさせられて30分ほど海未さんから説教をされていたけど――自業自得なので何も言えないね?
私はそんなことを思い出しながら、亜里沙の横顔と困った表情を浮かべる真姫さんの顔を見つめていたのだった。
♪♪♪
「いや、あのね? ……ほら、私達もまだ何も決めていないから……」
罪悪感たっぷりな表情になりながらも言葉を繋げる真姫さん。
まだ何も決めていない。
そうなんだ。真姫さん達も空いた隙間を持て余しながら前に進んでいるんだ――あまりにも大きすぎた去年1年間と言う隙間を。
「……だけどね?」
真姫さんの言った言葉の意味を感じ取って、暗くなる私達の表情を見て真姫さんは優しく言葉を繋げる。
「いつ、その時が来ても良いように……私は曲を作り続けているの……それにね?」
真姫さんは、ピアノに視線をおくり優しくピアノを撫でながら――
「やっぱり、私は音楽が好きだから……」
本当に愛おしそうに、ピアノを撫でながら――本当に音楽が大好きなんだってことが伝わるような微笑みを浮かべて答えたのだった。
「だけど、まぁ……」
真姫さんの言葉の意味を感じ取り、真姫さんの表情を眺めている私達の表情を見て、自分で言った台詞が恥ずかしくなったのかも?
またもや顔を赤らめて、今度は腕組みをしながら瞳を閉じて――
「気分転換のつもりで歌っていたんだけど……納得がいかなくて何度も繰り返していたら、逆に息詰まっていたところなの。だから、気分転換に曲でも作ろうと思っていたところよ?」
捲くし立てるようにそんなことを口走っていた。
曲作りに息詰まって弾き語りをしていたのに、その弾き語りに息詰まって曲作り?
これって、場を和ませる為の真姫さんなりの冗談? 笑った方が良いところな
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