Track 1 両手を広げて
活動日誌2 あいしてる・ばんざーい! 1
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を浮かべて言葉を繋げる。
その表情と言葉のもつ意味がわからない私は、漠然と相槌を打っていた。
すると突然吹き出し笑いをしながら――
「プッ――クククッ! ……本当に貴方と穂乃果って姉妹なのね?」
そんな事を言ってきたのだった。
「だって1年前――穂乃果と初めて会った時、今の貴方と同じことをしていたのよ?」
「…………」
「…………」
目尻に溜まった涙を拭いながら、真姫さんは教えてくれた。
1年前のお姉ちゃんと同じ行動を取っていたなんて――何とも言えない気恥ずかしさから、私は顔が熱くなるのを感じて俯いた。
そんな私を優しく微笑みながら見守る亜里沙。
ほんの数秒だったけど、真姫さんの弾き語りの音色のような――優しくて暖かな雰囲気が音楽室を包んでいた気がしたのだった。
「……でも?」
真姫さんが再び言葉を繋げたので、顔をあげて彼女を見る。
すると、私の熱いのが感染したかのように顔を赤らめながら、髪の毛先を人差し指で弄び、私達から顔を背けて――
「あの時、穂乃果に出会わなければ今の私はいないと思うわ……だから、感謝しているのよ?」
そう、告げるのだった。
その言葉を聞いて嬉しさがこみ上げてきた私の表情の変化を、横目でみていた真姫さんは――
「たまたま……そう! たまたま貴方達に話しただけなんだから、穂乃果達には内緒にしておいてよね!」
赤らめた顔のまま、私達に向き合い、少し潤んだ瞳で私達を見つめて内緒にするように強要してきたのだった。
私は失礼だとは思ったけど、彼女のことを可愛いと思ってしまった。
だって、私の知っている真姫さんは――歌とピアノが上手で、いつもクールでカッコいいイメージしかなかったから。
けっこう前に、真姫さんについてお姉ちゃんと話したことがある。
「真姫さんて、クールだし……すごく格好いいよね?」
私の言葉を聞いたお姉ちゃんは含み笑いを浮かべると――
「確かに真姫ちゃんは格好いいんだけど……本当の真姫ちゃんは、すっっっごーく! 可愛いんだよー?」
こう言っていたのだった。
あの時はまったく想像出来なかった。だって、お姉ちゃんにとっては後輩だけど私にとっては先輩なんだから。
年下の私が見ている真姫さんの格好よさも年上のお姉ちゃんからすれば可愛いと思える――そう言うものだと思っていた。
いや、違うかも?
だって、お姉ちゃん――海未さんや、亜里沙のお姉さんの絵里さん。2人に対しても可愛いって言っていたし。単に、お姉ちゃんの感性がずれているんだと思っていた。
だけど今なら違うと素直に思え
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