無印編
ジュエルシードを求めて
少女との出会い
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む、キーラ。オリヴィエを……!!」
「甘えるな、クラウス。手を出すなと言ったのはお前だ」
「…………っ!!」
自ら死地へと赴こうとするオリヴィエを止める為、奮闘するも力を使い果たし、地に伏すクラウス。彼を下したオリヴィエは寂しそうだが、強い意志を持った笑みでこちらを見る。
「感謝します、キーラ。貴方まで止めに来たら正直どうなるか分かりませんでした」
「……俺は偶々この時代を通りかかっただけの流浪者。時代の顛末をひっくり返す権利はない……最も、オリヴィエ。我が大恩ある主君の魂の転生体である君が一言命じれば、すぐにこの戦いを終わらせてみせよう」
君が採る方法より犠牲は増えるがな、と意地悪く付け足す。そんなことを言えば、彼女の選択など、1つしかあり得ないと知りながら。
オリヴィエは目を伏せて答える。
「それは出来ませんね。クラウスの志を無意味にしてしまいますし」
『天地に覇をもって、和を成せる王になる』
つまり、王という絶対的力でもって平和を維持するということ。
それは、安定した平和の作り方として、1つの正解と言える。
「待ってください!オリヴィエ……私はまだ、貴女に……!!」
俺はただ黙って見送る。本心を明かせば止めたかった。遥か昔に最後の主君と交わした最後の約束。それは今のオリヴィエのような立場の人を助けることもあった筈なのに。俺は、力を以ってでしか、彼女の強い決意を揺らがせることが出来ない。
余りに無力。俺は未だ、非力だ。
「……オリヴィエ」
だから俺は、
「?……どうしましたか、キーラ」
呼び止めた後に暫し目を泳がせると言った。
「……すまない。また俺の力が至らなかった。俺は、ずっと生きている。遥か未来、君がまた俺の前に現れたなら―――」
―――次こそは守る。
オリヴィエは目を見開き、クスッと微笑して言った。
「……そうですね。貴方の主君の魂が私に宿ったように、『輪廻』がもし繰り返され、別の誰かに宿り、また私も誰かとして貴方に会えることができたなら……」
―――貴方や貴方の『主』、クラウス、エレミア、クロ達と……また……
「…………っ」
かばっ、と起き上がると辺りは日が暮れかけていた。今は首輪となっているデバイスにも連絡は来ていない。
(……それにしても何故だ。昔の夢などもう滅多に見ていなかったと言うのに。最近は)
そよ風が木々の間を抜け、葉が擦れ合う。その風は、どこか懐かしい匂いを運んできたような気がした。
「はっ、まさかな……」
夢の影響で感傷的になるなど自分らしくない。寝直すか移動するか悩んでいると、付近で巨大な魔力
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