Track 1 両手を広げて
活動日誌1 スタート・ダッシュ! 2
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を大切にしなくてはいけない。
奇跡の欠片。今日お姉ちゃんがくれた私へのお祝い。
今日一緒に走ることができたこと。夕焼けの意味に気づけたこと。
そして――
夕焼けに染まるお姉ちゃんの背中をこれからも追い続けて、いつか隣に並べる自分になる!
そんな決意を改めて感じさせてくれた私にとっての――スタート・ダッシュの瞬間を。
私は脳内で響くスクールアイドル μ's のあの曲に心を躍らせていた。
あの曲は確実にお姉ちゃん達のスタート・ダッシュになっていたんだと思っている。
もちろん私達のスタート・ダッシュは当分先の話だろうし、あの曲は私達の曲ではないのもわかっている。
だけど今だけ――
まだお姉ちゃんの妹の雪穂として、聞いていても、良いよね?
そんな思いを胸に脳内であの曲を。
そして目の前の――夕焼けの中、前を走るお姉ちゃんの背中を目に焼き付けて走り続けていたのだった。
♪♪♪♪♪
追加報告。
ちなみに、帰宅した私達を迎えてくれた入学祝いの料理。
もちろん美味しかったし、お姉ちゃんも結構食べていたのに。
どうやら、料理に関しては心ここにあらず! な、ご様子だった。
まぁ、それでも、相手はお姉ちゃんだからね?
しっかり食べていたんで、普段通りかな?
そんな感じで、お待ちかねのデザート!
と、思いきや!? 出てきたのが、お饅頭1個!!
あっ、2人の真ん中に1個だけ出されたって話だからね?
あの時のお姉ちゃんの一喜一憂には笑いが止まらなかったなー?
別に、お母さんの意地悪じゃないんだよ? 私がそうしてほしいってお願いしたんだから。
そもそも夕食後なんだしさ? いっぱい食べるつもりもなかったから。
あと、ね? 私が1個にして欲しかった理由――
「…………」
「……雪穂?」
「……はい、お姉ちゃん」
「…………。うん、ありがと」
「「…………」」
私は恨めしそうにお饅頭を眺めるお姉ちゃんを横目に、お饅頭を手に取った。
そして1個のお饅頭を半分に割ると、片方をお姉ちゃんに差し出したのだった。
お姉ちゃんは差し出されたお饅頭と私の顔を交互に見比べると、優しい微笑みを浮かべてお礼を告げながら受け取った。
2人はどちらともなく無言でお饅頭を食べ始める。
そう、私が1個にして欲しかった理由。
お姉ちゃんと半分こにしたかったから。
高坂家に生まれたこと――お祖母ちゃんやお母さん。
そして、お姉ちゃんと同じ校舎で学べること――そのことに感謝すること。
更にお姉ちゃんの妹であること――いつまでも私はお姉ちゃんの妹なんだと再確認すること。
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