Track 1 両手を広げて
活動日誌1 スタート・ダッシュ! 1
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まぁ、私自身がお饅頭を食べたいって言う目的もあるし?
お姉ちゃんが本当にお饅頭を嫌っている訳でもないのは知っているから。
ただ、お姉ちゃんは洋菓子が食べたいだけなんだよ。実家が和菓子屋だから、パンや洋菓子に憧れがあるんだって。
だけど、今日は無視をしておこう。
だって――
「……ほら、帰るよ?」
「ぅぅぅぅぅ……」
私が声をかけても、お姉ちゃんは未だにうめき声をあげている。そんなお姉ちゃんに呆れながらも言葉を繋げる。
「第一、今日は帰ったら私の入学祝いの料理があるんだよ? 今なにか食べたら料理が入らなくなるじゃん?」
「大丈夫だよぉ。走って帰れば、お腹すくもん……」
「そんな訳ないじゃん! ……あのね? お姉ちゃん……」
「……何?」
私は至極正論を唱えたつもりなのに、斜め上の回答が返ってくる。
何となく、あの悲劇の際の海未さんに謝罪したい気持ちで一杯になった。
とは言え、このままでは埒があかないと悟った私は――
しかたないと諦めて、本当のことを言おうと声のトーンを下げて、少し寂しそうな表情で言葉を繋げる。
さすがのお姉ちゃんも、私の表情と声の変化に心配そうな表情で聞き返す。
私は、お姉ちゃんの心配そうな顔を見つめて言葉を紡ぐのだった。
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