帰郷-リターンマイカントゥリー-part3/慈愛の勇者と
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る?」
すると、ルイズが恐る恐る尋ねてきた。
「怒ってるって、何が?」
「私が、勝手に舞台に出たこと」
貴族、それも公爵家のものである自分が舞台に出たことについては、ルイズは最終的に乗りはしたものの、決して貴族としての沽券を無視したわけではない。
「そんなこと怒らないわ。寧ろ、私にとっては羨ましいものよ。舞台の上とはいえお姫様になれるなんて、女の子のちょっとした憧れじゃない」
だからカトレアからもどう思われているのか気にしたが、カトレアは本当にそう思いながら答えた。公爵家がそんなことを…と思うが、決してルイズは口にしなかった。姉が気にしないとはわかっていても、あまりカトレアを悪く考えることは避けたかったし、何よりカトレアがそう思えるだけの理由がすぐに予想できたからだ。
なにせカトレアは幼い頃から病弱で、自分が物心ついたときからあまり屋敷の外に出たことがない。激しい運動など医者から止められているからしたくてもできないのだ。
すると、二人のいる部屋の扉がガチャッと開かれる。そしてすぐに、人懐っこく「ピピィ」と鳴きながら、ピグモンが顔を出してきた。
「ひぃ…!」
突然やってきたピグモンに、ルイズは思わずびっくりして悲鳴を漏らしてしまう。しかしそれに対してカトレアは、家族が戻ってきたときと同じような感じでピグモンを見る。
「あら、戻ってきたのね。ムサシさんたちとはもう楽しんできたの?」
「ピピィ」
「ちゃんと楽しんできたみたいね。よかった」
ピグモンは満足そうに鳴いたのを聞き、カトレアも笑みをこぼし、ルイズを見る。まだ少しビビッているのが伺えた。
「ルイズ、そんなに怯えていたら。この子がかわいそうだわ」
「そ、それは…」
サイトから怪獣と聞いたせいもあるし、そもそもこの生物がハルケギニアでは見かけない個体だからだろうか。どうしても警戒してしまう。困った子ね、と…自分が困らせているところもあるのに困った笑みをこぼす。
「ほら、ためしにこの子の手をとってごらんなさい」
カトレアがピグモンの手をとって、それをルイズの方に伸ばす。その手を恐る恐る取るルイズ。ふと、握った手から心地よい温もりが流れ込んできた。
「あったかい」
カトレアが引き取った小動物を抱いたときのような暖かさがそこにあった。すると、ピグモンは自分の手を取ってくれたルイズを嬉しく思ったのか、今度は彼女にもじゃれ付いてきた。
「きゃ!ちょ、ちょっと!そんなにくっつかれたら動けないって!」
そうは言うルイズだが、まったく嫌悪感も恐怖も抱いておらず、寧ろ犬がじゃれ付いてきてるような、嬉しくも困らされているといった様子だった。
しばらくモフモフした後、ピグモンが着かれたのかキュー…と寝息を立てて眠りにつく。ちょっと髪が乱れたので、改めてカトレアに髪をとかし直してもらうと
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