タイムトラベラー 宮園 萩音
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家でアニメを観ている本郷、胡坐をかくその上にユーフェミアがちょこんと座っている。
アニメは少し古い作品であった。本郷は気分によっては一日中アニメを観ている。
SNSが普及しているこの世の中で、彼は自分のことを発信しない。
それに費やす時間よりも一分一秒でも作品を見つめていく。
ユーフェミア「明ぁ……喉渇いた」
明「自分で飲め、奨学生」
本郷はむげもなく視線すら合わせず拒否、
ユーフェミア「それ長い!」
明「確かに銀英伝は162話もあるからな」
一日で観られないと思われるだろうが、漢となると時間を跳躍していく。
ユーフェミア「ううっ……いつ終わるん?」
明「ほぼエンドレスだな」
再放送されて結局最後まで追えず、また初めからはよくあることだ。
ユーフェミア「終わらないやんか! 終わらないやんか!」
明「だから……」
本郷が辟易し始めたとき、ドアをノックされる。
静まり返る室内、本郷は少し妙だと思った。
明「警察なら……すでに名乗ってる」
この町の秋葉原警察はG○Aよろしく、犯罪の目あれば銃もって突入してくるほど仕事熱心なところ。
名乗らない上にドアを開けてこないことは妙であった。
ユーフェミア「アタシ、なにもしてないやん」
面倒そうに枕を抱きしめる彼女に、本郷も頷くしかない。
明「そうだな……」
本郷は扉の前に立つ。ドアスコープごしに相手を見ると、そこにはスーツ姿の女性がいた。
オープン
???「あっ……」
今時珍しい綺麗な黒髪の流れる姿に驚嘆しながら、本郷はいぶかしげまじまじと見つめる。
明「……なにか?」
???「あのその……探していました!」
物語の冒頭のようなことを言い出す彼女に本郷の心は少し躍る。
明「……宗教は信じてないんだ」
???「す、すいませんんっ! そういうつもりはなくて……あの、わたし」
女はすかさず名刺を取り出す。そこには宮園 萩音という名前が書かれていた。
明「それじゃあ、なんの用だ?」
萩音「えっと……その秋葉原どころか、この世界が終わっちゃおうとしているということを伝えに。あなたの元いた世界のように」
本郷は目を閉じた。
ようやく話が分かる人間がやってきたのだ。
明「それで」
客人によく冷えたペットボトルのコーラを渡す。うるさくするユーフェミアにも同じくコーラを渡す。
萩音「すいません。ありがとうございます」
明「端的に聞こう。どこまで知ってる?」
萩音「わたしの知ってることでよければですが、スイマセン」
明「わかった。聞こう」
萩音「それなのですが……そちらのお方は」
ユーフェミア「?」
明「吸血鬼だそうだ」
本郷はそのままの意味でいったのだが、萩音の反応は意外なものとなっていた。
萩音「そうですね。この時代であればいてもおかしくはな
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