暁 〜小説投稿サイト〜
ラブライブ! コネクション!!
Track 1 両手を広げて
活動日誌0 ミュージック・スタート! 1
[1/4]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
「……新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます」

 壇上の理事長先生が私達を見渡してから、微笑みを浮かべて言葉を(つむ)いだ。
 その瞬間に私、高坂 雪穂(こうさか ゆきほ)は心の底から込み上げる物と言うか、安堵(あんど)と言うか――そんな感情に全身を包まれていたのだろう。
 
 合格発表で受験番号はこの目でしっかりと確認した。制服だって間違いなく私の手元に届いたモノだ。
 そして、その制服を身に包んで音ノ木坂の校門を通り、学院の先生や先輩方に案内されて入ってきた入学式の会場。
 今、私は他の新入生と共に新入生の席――この場に座っているのだ。
 疑う余地がないことくらい理解はしているんだけど。それでも、今この瞬間に私は祖母や母が通っていた――そして、お姉ちゃんの通う国立音ノ木坂学院(こくりつおとのきざかがくいん)の生徒として認められた。たぶん、そんな気になったのかも知れない。

「…………」
「…………」
「「…………クスッ」」
「「…………」」

 私は思わず隣に座っていた親友の絢瀬 亜里沙(あやせ ありさ)の横顔を見た。その瞬間、亜里沙も私を見つめ返してきたのだった。
 たぶん同じことを考えていたのだろう。自分の顔は鏡で見ていないからわからないのに――きっと2人は同じ表情をしているんだと思えた。それは亜里沙も同じみたい。
 私達は同時に小さく笑うと、照れくさそうに正面に向き直るのだった。

♪♪♪
 
 今日は此処(ここ)、国立音ノ木坂学院の入学式。
 亜里沙のお姉さんの絢瀬 絵里(あやせ えり)さん。そして、私のお姉ちゃんの高坂 穂乃果(こうさか ほのか)
 ――更に7人の先輩達が集まって、スクールアイドル μ's(ミューズ) として輝きながら駆け抜けた姉達の去年1年間が発信され続けてきた場所。
 私の知っている喜びや悲しみや苦労も当然あった。だけど私の知らない色々な困難や苦労や悩みもあったのかも知れない。
 ううん――絶対にあったと思う。ただお姉ちゃんが私に見せまいとしていただけなんだろう。
 でも、それは別に私が妹だからとかって理由ではない気がする。
 単に、お姉ちゃんの輝いた場所がスクールアイドルだったから――学校の部活動だったからなんだと思う。そう、去年の私は音ノ木坂の生徒じゃないから。
 それにお姉ちゃんには素敵な仲間がいた。支えあえる皆がいたのだから。
 私の知らない困難や苦労や悩みは、仲間で乗り越えてきたんだと思う。
 私は、ただ応援しているだけの存在――ただ、勇気と希望をもらっているだけの存在だった。

 ――だけど、今日からは違う。私も音ノ木坂の生徒なんだ。
 1年間とは言え、お姉ちゃんと同じ校舎で同じ時を刻む――

「…………」
「……
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ