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ラブライブ!サンシャイン!!〜千歌キチとAqoursの夢の軌道〜
第3話:ダイスキ→カガヤキ
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まるでさっきから私がここにいたみたいな言い方じゃん」
「違うのか?」
「……気づいてたの?」
「いや、勘。てか、ステージ裏にいるやつがわかるわけないだろ。どうせ果南のことだし、さっきから来てたんだろうなって思って、それが偶然当たってただけ」
「やっぱり、孝紘には色々見透かされてる気がするよ」
「そんなことはない。感情が読めるわけでもあるまいし」
お互いに無表情。決して仲が悪いわけではなく、ただスクールアイドルが関わっている話だから、というだけである。詳しいことはなんも知らねぇが、まあ空気が悪くなるってことはスクールアイドルに対してこいつがいい思い出がないってことくらいはわかる。以前からそうだった。
「じゃあ、僕は会場案内するから」
一言置いてその場を去る前に、忠告を促す。
「最後に一つ言っておく。──自分の過去とあいつらを重ねるなよ」
「──ッ」
やっぱり……か。まあ、そこは僕が介入すべきところではない。自分自身でどうにかするべき、もしくは直接関わった人が力を貸すべきだ。
さァて、さっさと仕事を済ませよう。
──────
無事案内も終わって、今度は正面から3人を見ているところ。
サビもしっかり踊れている。歌声もブレが少ない。練習でやっていたこと以上のものが本番で出せるやつって本当にいたんだな……空想だと思ってた。
隣にいるのは、さっき「バカチカァ!!」と叫んだ張本人、高海美渡である。
「美渡姉、なんだかんだでやっぱシスコンじゃん。本当に会社の人たちを誘ってくるなんてさ」
「まあね。一応妹なわけだし、プリン貰ったし」
「相変わらず素直じゃないねェ……プリンごときで動かないだろ、アンタみたいな人は」
「あんたが素直すぎんのよ。そもそも、千歌キチにシスコンなんて言われたくないっての」
「はは、まったくだな」
そんな風に会話を交わしながらステージを見る美渡姉ぇの横顔は、どこか嬉しそうな……そんな感じがした。
周りの人もみんな、どこか楽しそうにしていた。老若男女、様々な人が集まっている。
本当によかった。あのタイミングで雷落とす時点で神様に情がねぇのは相変わらずだが、この町は違った。よくよく思い返せば、志満姉ぇも言ってたさ。「大丈夫よ。みんな、あたたかいから」と。その通りだったな。
確かに、ここは田舎だ。都会に比べれば、退屈な場所にも感じるだろう。僕だって、いつかは都会へ行きたい、そんな風に思ったこともある。
だけど、田舎だからこそできることっていうのは、必ずあると思えた。1人1人の距離が近いからこそ、できることがあるんだと思えた。
と、同時に。
「……僕は、この町の優しさに救われただけで、何もできなかったな」
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