第4話『命運尽きず!絶望の淵に放たれた一矢!』
[7/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ル)より実力が鈍っていますね」
何か妙に突っかかるノアだが、今はそんな与太話に付き合っている場合じゃない。
「あいにく俺もゆるりと昔話をするつもりはない。ノア。君がこの場から引かないというのなら――」
「それは、聞くまでもないことですよ?ガイさん。まずはおさらい、2段階加速です」
凱とノアの殺陣が始まった。
そして、書生風な優男から想像できないような実力に、見たことのあるような変速技術に、凱は苦戦を強いられた。
(……まずい!このままじゃティッタが!)
その間に、テナルディエ兵が悠々とヴォルン家に向かっていた。
『セレスタの町・ヴォルン家の屋敷』
――ヴォルン家に誰かが入ってきたとき、屋敷にいたティッタは体を強張らせた――
この状況で入ってくるものなど決まっている。
「ガイさん……」
震える声で、今アルサスの中心で戦っている青年の言葉を思い出していた。
――ガイさんは、明日が怖くないんですか?――
――怖いさ。だけど……たくさんの勇者から貰った勇気が、俺を動かしてくれるんだ――
――…………――
――うん。一度怖い気持ちから逃げちまったら、二度と怖さに立ち向かえなくなっちまう――
――怖い気持ち……――
――いつも俺は思うんだ。確かに今のアルサスは絶望的かもしれない。けれど、勇気を出せば、もしかしたら勝てるかもしれないって――
――勇気……――
――だから俺は、いつも勇気だけは捨てないんだ――
「ティグル様、ガイさん、あたしに勇気をください」
自然と、ティッタの足は動いた。それは、自分自身の勇気なのか、凱からもらった勇気なのか、くすんだ赤い若者の勇気からくるのかは、分からなかった。
ティッタは土足で上がり込んだ無礼な輩を迎え出る。
「どなたですか?」
そこには鎧を着た若者、ザイアン=テナルディエが立っていた。乱暴に蹴り倒したのだろうか。あたりには燭台や装飾の数々が散乱としていた。
整った顔立ちからの二つの眼球が、ティッタの体を丹念に嘗め回した。その薄気味悪さから、身震いし、かつてヴォジャノーイという魔物に拉致された恐ろしい記憶が、彼女の脳裏に蘇ってきた。
「ほう、ヴォルンのくせに、なかなかいい娘をかこっているじゃないか。頭の下げ方次第では俺が抱いてやってもいいぞ」
「……出ていって」
「なんだと?」
「出ていけって言ってるのよ!このお屋敷は!この町は!ティグル様のものよ!あなたみたいな人は指一本触れないで!それが分かったら出ていけ!出てけ!」
「テナルディエ家の、この俺様に向かって
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ