第4話『命運尽きず!絶望の淵に放たれた一矢!』
[6/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
かった。
(どうして父上はよりにもよって、この男を重宝しているんだ?)
ザイアンは、納得のいかない心情を抱きながら、馬の足を進ませるのだった。
『セレスタの町・神殿周囲の戦地』
――神殿を取り囲んでいた兵たちは、凱によって一時の沈静を見た――
「キツイわけじゃないけど……さすがにキリがない」
丘の上を見やり、凱は憎々し気に吐いた。体内のGストーンが臨界状態を迎えたため、凱は一時的にIDアーマーを解いた。分解された黄金の鎧の各部位は、左手の獅子篭手に、まるで吸い込まれるように集約されていく。
破壊された家屋や財産を痛々しく見ていたものの、既にテナルディエ兵の増援が送り込まれてくる。一人の青年を先頭にして背後にはさらなる大軍が現れた。
金髪を短くあしらった優男風な少年は、凱も知っている輪郭をしていた。
凱の攻略に手こずっていた雑兵は、大きな歓声で少年の名を呼んだ。
「ノア様!」
「ここは僕に任せて、あなた達は本隊と合流してください。ザイアンさんも来ていますよ」
「さて、久しぶりですね。ガイさん」
「君は……ノアか?」
久しぶりに見る少年の姿に、凱は思わず固唾を呑んだ。
さらに、あの阿鼻叫喚な戦争を生き抜いた少年が、テナルディエ軍に組み込まれている地点で、凱の思考はかすかにブレた。
「生きていたのか?第二次代理契約戦争で、行方が分からなかったが……」
歯切りの悪い言い方をする凱の仕草に、ノアは察してやった。
「ああ、そのことですね。大丈夫ですよ。ホレーショーさんもヴェロニカも無事ですよ。正確には、みんなテナルディエさんの所で元気にやってます」
「!!!」
驚愕と安堵の複雑な感情が、凱の中で入り乱れる。こいつら、一体何をする気だ?
「早速ですみませんが、僕と戦ってくれませんか?」
唐突なノアの物言いに、凱は僅かながら動揺した。そして視線を横へ見やる。
まずいな。テナルディエ兵の増援がヴォルン家に向かっている。次第に凱の心に焦りが生まれる。
ノアの実力は凱も知っている。あの戦いより強くなっているかもしれないと思うと、なおさら油断できないからだ。
逆に、ノアも凱の実力を知っているはずだ。
「実はザイアンさんからガイさんを生け捕れって命令されてるんですけど……気にしないでください。ただ『殺さずに守る』今のあなたの実力がどれだけ衰えたか、知りたいだけなんです」
殺さずに守る。そこだけ妙な感情がこの青年には含まれていた。それは、凱でさえ気づかなかった小さな変化だ。
「これだけの兵力を相手にしても無事でいられるあたり、流石ですね。ですが、思った通りあなたは第二次代理契約戦争(セカンドヴァルバニ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ