シーソーゲーム
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うと・・・
(誰?あれ)
彼女もまた、二人の候補がいる馬の中身を考えているところだった。
両者ともに馬の存在が気になり、ただ静かに時が流れていく。
(あの馬の数字を確認して即コールするか?いや、その前にソフィアがウェンディを回答するのは確実。動くわけにはいかない)
このままでは勝敗が決することはないと考えたユウカが勝負を動かそうとしたが、自分が動いてしまうことは敵に好機を与えるだけだと悟る。このまま何か自分に有利に働くことが起きることを祈っていることしかできないのかと思っていた矢先、目の前にいたはずのクマが突然ウマ目掛けて走り出した。
(ハッ!?)
何を彼女は思ったのか、自分有利だったはずの状況を崩して走り出したクマを見て驚く。向かってきたクマを見てウマも同様に驚き、背を向けて走り出す。
(何は狙いなんだ!?いや、今は・・・)
ソフィアが目の前からいなくなったことを利用して跡を追いかけていくサル。
(なんで敵であるはずのウマを追いかけていくんだ?ウェンディからじゃ得点できないと――――)
そこまで来て、彼は彼女の狙いに気付いた。ソフィアの目的は自分の意識をウェンディから離すこと。ウマを追いかけていけば当然自分もこのチャンスを生かそうと動く。その間に切り返してウェンディから数字を見せてもらえば勝敗を悠々と決することができる。
(だったら逆にそれを利用してやる!!)
ウマとクマの追いかけっこが繰り広げられている道へと曲がったユウカは足を止めて振り返る。
(今だ!!・・・!?)
ユウカが足を止めた丁度その時、ソフィアも踵を返して振り向くと、そこに入ったのは足を止めてウェンディが誘い出されるのを待っているサルの姿。
「ウェンディ!!来ちゃダメ!!」
声を張り上げ味方の少女の動きを制しようとするが、時すでに遅し。ウェンディが入っているキツネは、三人の跡を追いかけようと向かってきており、立ち止まっていたユウカと正面で向かい合ってしまった。
「見つけた、03番、ウェンディ・マーベル」
ソフィアに持っていかれる前にと即回答を行うユウカ。その瞬間、その場にいた二人の小さな少女は唖然としてしまった。
『ユウカ選手正解です!!人魚の鱗が5ポイントを獲得しました!!よって勝者、人魚の鱗!!』
「よしっ!!」
逆転に次ぐ逆転劇となった第三戦を制したのは最後の際で追い込まれていたはずの青年。彼は奇跡にも近い勝利を受け、物静かな普段の佇まいからは想像できないようなガッツポーズをしていた。
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