シーソーゲーム
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
見込みはあるが・・・)
願いを込めて周囲を見回してみるが、どこにもこの様子を見ている人物は見当たらない。まだ迷路のどこかを歩き回っているのかと諦めかけたその時、地面に動く影が映っていることに彼は気付いた。
(おっ?)
気付かれないようにウェンディとソフィアから視線を外して影の動きを観察する。じっと見つめていると、その影は確実に動いているのが見て取れ、何者かがいることが確信できた。
(来た!!これは流れが変わる)
ソフィアはまだ一人が近づいてきていることに気付いていない。これは劣勢のユウカにとって唯一の利点だ。
(トビーとカグラ、どっちだ?どっちが生き残ってるんだ?)
姿が見えた瞬間に見つけたコールを行い敵よりも早く回答する。それが一番理想ではあるのだが、残念なことに理想通りにことは運べない。
なぜならユウカの中では二人の候補が残っているから。それを特定しなければならないが、とても見つけたコール後の10秒では無理な話。つまりコールを行う前に見分けなければならないが、その間にソフィアがウェンディを回答してしまったら意味がない。
(誰だかわかるような動作をしてくれればいいんだが、どうだかな)
祈るように影の主がこちらに歩いてくるのをじっと見つめる。徐々に足音が近付いてくると、ソフィアとウェンディも最後の一人がこちらに向かってきていることに気付きそちらを振り向いた。
「出てくるな!!」
ビクッ
突然大声で最後の着ぐるみの動きを封じるユウカ。だが、それが誰に言ったのか彼には伝わらなかったらしく、こちらを覗くように顔を見せた。
(馬かよ)
見えた顔を見てなんとも言えない表情をするユウカ。最後の最後で出てきた着ぐるみがこれまた動きにくそうな馬。それによりここまでこの着ぐるみが誰とも遭遇しなかった理由も何となく把握できた。
(あの足じゃ動きにくいわな)
レオンのタヌキもなかなかだったが、この馬も相当なものである。その理由は足にある。人間の足は地面に接する面が大きいが、この馬の着ぐるみの前足を見た限り、本物同様の仕様になっていることが容易に想像できた。
その足で歩くのはバランスが非常に悪く、進んでも転倒して前に行くことができなかったゆえに誰とも遭遇せずにいられたのだと思う。
(で、どっちなんだ?こいつは)
一通り感想を心の中で述べた後、馬の正体を考察してみることにする。だが、馬はこちらをじっと見つめているだけなので全く誰と特定する要素がない。
(こっちに呼び寄せるか?いや、もしソフィアがあの中身を知ってるとすると・・・)
自分は知らないが、敵が知っている場合はみすみすチャンスを与えることになって終わりだと踏み切るに踏み切れないユウカ。一方のソフィアはとい
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ