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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
二十八話 Sword breaker
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め過ぎたのかもしれない。
ただその想いが、己の未熟さを悔いていた。
「晴嵐……済まなかった、私の未熟で、お前を傷つけたね」
[否]
普段無口な己の半身は、この時だけははっきりと否定の意見を述べた。同時に最後まで戦いきれなかった己を恥じるように、鈍い響きを刀身から響かせる。
「……ありがとう」
明日にも、修理に出してやらねばなるまい、そう思いながら、ミカヤは微笑んで晴嵐の鞘をそっと撫でる。
そうして、もう一度、ライトアップされた目の前の巨大なスタジアムに視線を移した。
「(あと、一度か……)」
来年、その一度だけが、自分が十代の女子という枠組みの中で戦うことが出来る最後の機会になる。その時、自分は最後までやれるだろうか?己の道に後悔なく、悔いを残さず、最後までやり切ることが出来るだろうか?そう出来るだけの力が、今の己にあるだろうか?
「(……いかんな、弱気になっている)」
首を振って、己の内にある弱い部分を振り切ろうとする。しかし一度生まれた己への疑念は、なかなか消えてはくれなかった。そんな中、暗闇から、ミカヤに向かって歩いてくる影があった。
「……?」
「……ん、いた」
「エーデル……」
表れたのは、友人で武道仲間でもある、エーデル・シュタインだった。見ると、手に緑茶のペットボトルを持っている。
「どうしてここに……」
「……探してた。ん」
「……これは?」
差し出されたペットボトル茶を受け取りながら、ミカヤは苦笑気味に尋ねる。と、エーデルはさしたることも無さげに答えた。
「慰労茶」
「慰労、茶……ね、斬新だ。いただこう」
受け取ったペットボトルを開けて、一気に流し込む。少しぬるくなってはいるものの、未だに十分な冷たさを持ったそれは、気温が上がり始めたこの時期の飲み物には、ちょうどよく喉を潤してくれた。
「……おつかれ」
「あぁ……ありがとう」
ベンチの隣同時に座って、ミカヤとエーデルはしばし同じようにスタジアムを眺める。
「……負けてしまったよ」
「……ん」
「……エーデルは明日だろう?」
「……ん」
「自信のほどは?」
そこまで聞いて、一瞬だけ返答に間が空く、しかし即座に、エーデルは何の躊躇もなく答えた。
「勝つよ」
「……そうか、そうだろうね……」
どこか嬉しそうに、羨ましそうに、ミカヤはくつくつと小さく笑う。そうして傍らの彼の横顔に語り掛ける。
「なら、応援しないとだ」
「……好きにしたらいい」
短くそう答える声は、よどみなく、どこまでも真っすぐだ。そんな彼のあり方に心地よさを感じながら、ミカヤは立ち上がった。
「……さぁ、帰ろうかな……このか弱い乙女を、家まで送ってくれるかい?」
「……ん」
普段なら、「……か弱い?」の一
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