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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
二十八話 Sword breaker
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応援します!!」
「……あぁ」
いつものような無言の首肯ではなく、言葉と共に頷いての肯定。正直なところ、クラナとしては彼女達の練習に専念してほしい気持ちもあったのだが……

『よいのですか?相棒』
『……できれば、見せておきたいから……男子の部の戦いも、俺の、戦いも』
『……ですか!きっと良いことですね!』
『……そう、かな……だといいな』
それが心境の変化なのか、あるいは初めから会った願望なのかは分からない。ただ今、クラナの中には自分の試合を妹たちに見られることに、以前ほどの抵抗はなかった。以前なら、もっときっぱりと拒絶していただろうに……だ。

「(……もしかしたら)」
或いは、後輩たちに自分の姿を見てもらうことで、何かを感じ取ってもらえればいいと感じているのかもしれないな、とクラナは自己を分析した。口で語るのがへたくそな自分が、努力し、研鑽を続ける彼女達にできる精一杯の事。それが、「背中を見せる」ということであるとしたら……

「(悪い気はしないかな)」
そんな風に考えて、内心少しだけ微笑むクラナに、本当の微笑みを向ける者達もいる。

「クラナ……」
「良かったね、なのは」
「うんっ……」
二人の母が、久々に兄に向けて笑顔を向けるヴィヴィオに、そして彼女の言葉に答えてくれたクラナに、遠くから微笑みを向ける。明確な前進を感じ取れた瞬間に、場にいた全員が安堵していた。そんな中……

「(……ん?)」
ライノは視界の端に、見知った人物をとらえる。誰とも言葉を交わすことなく会場から出ていくその姿は、普段と比べて幾らか覇気が抜けたように見えた。

「…………」
勝者が居れば、敗者が居る。今日この会場から去る者達には、とびきりの笑顔で帰る者と同じだけ、無念と悔しさを抱えて帰る者達が居るのだ。そして、それは、来週も、その次も、大会が終わるまで続く。

「(あぁ……そうだな……)」
今年も始まったのだ、多くの選手が高揚と喜びを得、それ以上の数の選手が涙をのむことになる、IM(このたいかい)が。

────

「…………」
トライセンタースタジアムから程よく離れた公園の一角、スタジアムの第一会場の全体像を見渡すことのできるベンチに、ミカヤは一人座ってスタジアムを眺めていた。

「(終わった……か)」
まさしく、瞬く間の出来事だった。
敗北という結果は残念だったが、それ自体に不満など言うものはない。自らが出来るあの場の最良を出し、自分のスタイルを貫き、その上で負けたのだ。それでも勝てなかったのは偏に、自らの技量の不足と、そして心の奥底に一欠片あった、新人選手への侮りと、これまでの自分の実績から出た油断が原因だ。それに少しでも惑わされた時点で、自らの敗北の可能性は確かにあった。ジークリンデだけを、見つ
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