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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
二十八話 Sword breaker
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ら』
『そんな人が、大切な人に自分を誇れないなんてこと、有るわけないよ』
自分はきっと、彼の言うような、誰かに自分を誇れるような人間ではない。だがそれでも、そう言ってくれた彼の言葉を裏切るようなことはしたくない。
これは、自分のわがままだ。だが、今の自分にはきっと、これくらいしか彼の言葉に報いる術がない。だから……
「う、うん。それじゃあ、行こかな?」
「お、よーし、そんじゃさっさと行こうぜ!ミカ姉今年は張り切ってたからな!」
「あ、ちょ、引っ張らんといて〜!」
……まずは、小さな一歩から始めよう。
自分の中の臆病と向き合って、あの少年と堂々と向かい合える、そんな自分であれるように。
────
時は戻り、ミウラVSミカヤの試合開始直後……
「[──Fight!!]」
「ッ!」
立ち上がり、先手を取って動いたのはミウラだった。
開始と同時に、正面に向けて全力疾走、一気に距離を詰めるべくミカヤの方へと突っ込んでいく。
それに対して、ミカヤの対応がシンプルかつ静かなものだ。左足を少し前へ、膝を曲げて中腰に立ち、右手を晴嵐の柄に添える。天瞳流に置いて、《月輪》という名称で呼ばれるこれは、彼らの中では最初にならう基本中の基本、構えの状態だ。天瞳流におけるほぼすべての技は、この月輪から繰り出すことが出来る。
しかし構えに入ったミカヤを見ても、ミウラは怯むことなく突撃を掛ける。それを見て、焦ったように後ろのコーチ陣が制止を掛けたが、ミウラの耳には届いていなかった。
前提として、相手が
上位選手
(
トップファイター
)
である以上、自分が無傷で勝利するのはほぼ間違いなく不可能だと言ってよい。これは、当たり前の事実だ。であるならば、斬撃に対する防御を固めて、初めから当たる覚悟で無理やりにでも相手の懐に入り込み、後はこちらの得意な
超至近距離
(
ゼロレンジ
)
で密着したまま撃ち込みまくればいい。これが、ミウラの考えだった。
基本戦術としてはある程度間違ってはいない。どのみち、彼女が勝つためには是が非でも拳か足の届く範囲に入り込まなければならないのだ。至難ではあれど、避けられぬ道ならいっそ……という発想も、分からないではない。ただ……結論からいうのなら、ミウラは完全に認識を誤っていた。
抜刀剣術の速さに対して。破壊力に対して。剣という武器の拳と比べた際の間合いの広さに対して。ミカヤの経験値に対して。この場のあらゆることに対してミカヤの認識は甘く、その全ては誤りであったと言わざるを得ない。
そしてその過ちを見逃すほど
試合
(
ここ
)
は甘い場所ではなく──
「天瞳流──」
──そしてその代償は、決して安くはない。
「!?」
後一歩半ほどで、自分の間合いに入る。そう思ったミウラの視界の中で、ミカヤの姿がブレて
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