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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
二十八話 Sword breaker
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ミウラとミカヤの試合が始まる少し前。
第一会場、シード選手控室。
「1……2……3……4……」
小さく小刻みに息を吐きながら、床に足をつけて柔軟をしている少女がいた。次元世界にその名も高き次元世界世界最強クラスの十代少女、ジークリンデ・エレミアである。
長い髪を床に垂らしながら柔軟をする彼女の身体は、すでに床につけた足を延ばしたまま大きく開き前屈して胸を床に押し付けつつ、右手で右足のつま先に楽々と振れている。ちなみにだが、この体制を作者がやると、おそらく太ももあたりの筋がちぎれることだろう。
と、不意に扉をノックする音が、控え室の中に響いた。
「おーい、ジーク、居るか?いるよな?」
「……?番長?」
「よっ」
扉をたたくのもそこそこに、半ば決めつけるように放たれた言葉をジークは一瞬首を傾げて聞いたが、即座にその言い回しと声から相手が誰であるかを察した。自分と同じトップファイターの一人で、自分にとっての数少ない友人といえる少女の一人、ハリー・トライベッカだ。扉を開けて、同じ高校の
舎弟
(
なかま
)
達と共に入ってきた彼女は、開口一番問うた。
「ミカ姉の試合、もう始まってるぜ。見に行かねぇのか?」
「あー、えっと……」
その問いに悩むようにジークは眉根を寄せる。彼女の言うミカ姉とは、現在試合中のミカヤ・シェベルの事だ。彼女とは去年もその前も顔を合わせていて、色々と世話を焼いてもらったこともある恩人である。が、正直なところ、ジークには今回、ミカヤと顔を合わせ辛い理由があった。去年のIM、都市本戦大会中に、ミカヤを負かしたのは自分だ。それ自体は恥じることも会い難い理由にもならない。ただ……自分はその試合中に、ミカヤの強さに反応して、神髄を使用してしまったのである。
気が付いた時には、すでにミカヤの手首を自分の攻撃が粉砕した後だった。攻撃の破壊力が高すぎたせいで、クラッシュエミュレートの制御領域を超えて、ミカヤの手首を粉砕骨折させてしまったのだ。幸い、魔道再生治療によって彼女の手首は完治したと聞いているが、下手をすれば彼女がそれまでの人生全てを駆けて積み上げてきたであろう抜刀居合の命を殺してしまった可能性すらもあった。そんな自分が、のこのこと出ていって彼女を応援する等筋が違う、とも思える。だが……
「なんだよ?」
「…………」
脳裏に、先日見た、ある光景が浮かんだ。顔見知りの少年が、多くの、これからライバルになるであろう同年代の少年達と言葉を交わし、握手をする姿だ。
見ていて少しだけ、「羨ましい」と感じた。自分は同年代のライバルたちと向き合うことを、心のどこかで恐れている部分があったから……だが、同時に彼に言われたことが、頭の中で反響するように響いたのだ。
『今のジークさんを作ったのはきっと、そういう人たちなんだろうか
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